厚生労働省の出先機関である都道府県労働局のうち、福島や兵庫など計13労働局で永久保存とされているアスベスト関連文書計220件が誤って廃棄されていたことが明らかになった。大規模なアスベスト関連文書の誤廃棄が判明したのは2015年に続いて2度目となる。(井部正之・アジアプレス)
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アスベスト関連文書の誤廃棄を公表する発表資料の一部。2015年に続いて永年保存のアスベスト関連文書計220件が誤廃棄された(井部正之撮影)

◆情報公開請求がきっかけ

厚労省労働基準局総務課によれば、今回の大規模な誤廃棄が発覚したのは、埼玉労働局管内の川越労働基準監督署に対して3月14日に個人情報の開示請求があったのがきっかけ。同監督署および労働局で3月15~16日に当該文書を探したが見つからず誤廃棄が判明。同労働局が連絡し、本省の知るところになった。

4月には神奈川労働局でも同様の事例が発覚。立て続けに誤廃棄が見つかったことから、同省は5月11日、全国の都道府県労働局に対し、アスベスト関連文書の管理状況について調査し、6月末までに報告するよう指示した。

その結果、埼玉、神奈川を除く福島、千葉、新潟、石川、三重、京都、兵庫、和歌山、広島、福岡、長崎の11労働局で計214件の誤廃棄が発覚した。同省指示以前に調査をしていた埼玉、神奈川を加えると13労働局で計220件に上る。

同省は各労働局に対し8月10日の公表を指示。11労働局は一斉に誤廃棄を記者発表した。そのため同日、地方紙や全国紙の地方欄に多くの記事が掲載されることになった。

もっとも誤廃棄が多かったのは福島労働局で計91件に上る。兵庫50件、新潟25件と続く。そのほかでは長崎17件、千葉15件、埼玉5件、福岡5件、京都4件、広島3件、三重2件、神奈川1件、石川1件、和歌山1件。

内訳は監督復命書62件、安全衛生指導復命書61件、建設工事計画届71件、建築物解体等作業届19件(うち2016年度以降作成1件)、労災保険給付等調査復命書7件。

誤廃棄された文書は、ほとんどが計5万9788件の文書が誤廃棄されたことが発覚した2015年度以前に作成されたものだ。建築物解体等作業届1件だけが2016年度以降の作成だ。

同省総務課は「2015年度より前の文書で廃棄されてしまっているということは、同年度に本省の指示で分別作業をしたが、その課程で一部もれているものがあって、通常の文書の時期で廃棄されてしまったのかなと思います」と推測する。

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