◆ 1階がすべて泥まみれに

豪雨被害を受けた広島県呉市のJR安浦駅前の商店街。炎天下、住民やボランティアが泥をかきだす作業を続けていた(撮影・栗原佳子・新聞うずみ火)

 

未曽有の災害となった西日本大豪雨。7月中旬、新聞うずみ火編集部では、矢野が愛媛県大洲市を、栗原が広島県呉市を訪ねた。被災現場を報告する。(矢野宏、栗原佳子)

大洲市は、県の西部に位置する人口4万4000人の小都市。かつて伊予大洲藩6万石の城下町として栄え、昔ながらの街並みが随所に残ることから「伊予の小京都」とも呼ばれている。市の中心部はなだらかな盆地で、その真ん中を県下最大の一級河川・肱川がゆったりと流れている。その肘川が決壊したことで広い範囲にわたって冠水し、少なくとも市内3000世帯が床上浸水した。

阿蔵地区は一帯が浸水した。井上ひとみ(62)、隆志さん(62)夫妻は築15年の木造2階建て住宅で、娘と孫娘の4人暮らし。

6日夜、激しかった雨はいったん小康状態になり、夫妻は浸水に備えて自家用車を高台へ移動させた。7日朝に外を見ると、辺り一面が水に浸かっていたという。
「水かさが上がるのが速く、どんどん自宅に迫ってきた」

畳や電化製品を2階へ上げようとしたが、居間のテーブルの上にテレビを置くのが精いっぱい。4人は2階へ避難した。

「バターン」「ガッシャン」――。突然、階下でけたたましい音がした。自宅に入り込んだ水で畳や床が浮き上がり、冷蔵庫や食器棚などが次々に倒れる音だった。テレビもテーブルから落ちていた。

水位の上昇は止まらない。

「階段の1段目、2段目と、上がってきた。『もう止まるだろう』と思っていたけど、5段目まで来た。どこまで水が上がってくるかわからず、生きた心地がしなかった」
 防災行政無線は「避難」を呼びかけていた。平屋の人たちはすでに近くの公民館へ避難していた。

テレビもラジオもないので、自分たちがどんな状況にあるのかわからなかった。

避難した方がよかったのではないか――という後悔と不安を和らげてくれたのが中学3年になる孫娘だった。落胆している大人たちを元気づけようと、クイズを出したり、おどけてみせたりしてくれたという。

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