(参考写真)豚肉、野菜、冷麺に白飯と、市場外れの露天食堂にちょっと豪華なおかずが並ぶ。2005年6月平安南道にて撮影リ・ジュン(アジアプレス)

◆目の敵にされる個人食堂

北朝鮮当局が10月に入って個人の食堂運営を中断させたと、咸鏡北道会寧(ハムギョンプクド・フェリョン)市のアジアプレスの取材協力者が伝えてきた。個人による経済活動の活発化をけん制し、国家機関が運営する食堂の利権保護が目的のようだ。(カン・ジウォン/石丸次郎)

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「10月11日から個人食堂の運営を全面中止させた。 保安員(警察官)が巡回して食堂の営業を中止するよう通告している」
この取材協力者は電話で現地事情をこのように伝える。

この20数年、個人が自分の家や倉庫を改造して、そば、豆腐、肉料理などを提供する無許可の食堂を運営してきたが、会寧市の場合、「商売がうまくいっているそば店の場合、1日に中国200元(約3300円)の高収入をあげる店もある」と協力者は説明する。

では、なぜ個人経営の食堂が取り締まりの標的になったのだろうか? 協力者は、当局の今回の措置が国営サービス業の利権を保護するためだとしながら、
「今年初め、反社会主義の検閲により、個人薬商売、個人食堂を全面禁止して混乱が発生したことがあったが、1カ月でウヤムヤになった」と述べ、今回の措置も長続きしないのではと疑問を呈した。

人民委員会(地方政府)傘下の商業管理所や貿易局などの国家機関が多くの食堂を運営しているが、価格が高いため一般庶民は国営食堂より値段の安い個人食堂を利用することが多く、個人食堂が流行り、儲かっている店も多い。

この度の個人食堂の運営禁止措置が全国的なものなのか、現段階では不明だ。市場経済拡大で食堂をはじめとしたサービス業種で個人による営業が増え、国家機関やトンチュと呼ばれる新興成金が機関の傘下に作ったサービス業者と競合している。小規模であれ個人が生産手段を持つことを抑制し、国家機関とトンチュの利権を保護しようというのが、今回の措置の目的だと考えられる。

協力者はまた、「個人食堂の営業中止に先立ち、10月8日から中央防疫機関が市場付近の飲食商売と商業管理所所属のすべての食堂に対して(衛生)検査を行い、不適合の飲食店は営業停止になるか、閉鎖された」と述べた。防疫検査を名目に、個人食堂に圧力をかけるのが目的と思われる。

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