11月21日に開催された環境省石綿飛散防止小委員会のようす。過去にアスベスト使用を推進してきた業界団体も意見陳述(井部正之撮影)

 

環境省におけるアスベスト(石綿)規制強化の検討が本格化している。11月下旬、アスベスト使用の推進してきた業界団体の意見陳述で何が明らかになったのか(井部正之/アジアプレス)

◆アスベスト含有を「無含有」と公表


「ノンアスベストっていうのは実際にはアスベストを含んでいるんですよ」

以前建材メーカーからこんな指摘を受けたと10年ほど前にアスベスト被害者の支援団体関係者から聞いた。

ノンアスベストとはアスベストのない、アスベストを含まないとの意味で一般的には使われる。しかし、その建材メーカーの説明によれば、「ノンアス(ベスト)」製品は基準以内のアスベストを使用した製品を指すため「アスベストを含んでいる」という。これに対して、アスベストを一切含まない製品は「ゼロアス(ベスト)」と呼称し業界内で区別していた。
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だが、建材メーカーのいうそんな厳密な区分けは実態とは違っていたことが、環境省が1121日に開催した石綿飛散防止小委員会(委員長:大塚直・早稲田大学大学院法務研究科教授)で報告されている。

アスベスト使用推進の旗振り役だった日本石綿協会を前身に持つJATI協会は、加盟企業が過去に製造してきたアスベストを一切含まないとされる建材で一定の条件を満たす製品を「石綿無含有建材一覧表」として公表してきた。

同小委員会でこの一覧表について、同協会技術参与の浅見琢也委員は、「全データを見直したところ、適合しないものがあるため公開を中止しています」と説明した。

浅見氏はそれ以上詳しく説明しなかったが、資料によれば、同協会は、

1)原材料に、石綿(繊維状を呈するアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライト)を意図的に使用しない建材

2)原材料に、石綿を有する副産物(端材等)を使用していない建材

3)原材料に、天然鉱物(タルク、セピオライト、バーミキュライト、天然ブルーサイト及び蛇紋岩)を使用していないか、使用していたとしても原材料の配合比や分析結果等から、石綿含有率が定量下限以下(重量比0.1%以下)であることが確認された建材

4)石綿含有建材を製造する設備と別系列で製造された建材

4条件を満たした製品について、“アスベストを一切含まない製品”として一覧表に掲載し、公表していた。

ところが、同協会の調査によれば、上記(2)と(3)に適合しない製品が「少数ある」ほか、(4)についても守られていない製品があった。