環境省石綿飛散防止小委員会1回目会合で挨拶するJATI協会技術参与の浅見琢也委員(井部正之撮影)

 

環境省におけるアスベスト規制強化の検討でアスベスト(石綿)使用を推進してきた業界団体が過去の対応の間違いを認める場面もあった(井部正之/アジアプレス)

◆石綿推進団体の説明に失笑

「石綿を除去といいますか、なくしていこうということに関して、技術研究、確立と情報発信、収集などについておこなっている団体です」

11月21日の石綿飛散防止小委員会(委員長:大塚直・早稲田大学大学院法務研究科教授)で意見陳述したJATI協会技術参与の浅見琢也委員が所属団体をそう説明した際、傍聴者や委員から失笑がもれた。

同協会の前身がアスベストの使用を推進してきた日本石綿協会であることは有名だからだ。
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同協会は「アスベストは管理して使用すれば問題ない」などと主張し、アスベストの「管理使用」を推進してきた。

上記の主張をしていたのはアスベスト使用推進の旗振り役だった日本石綿協会(当時)。上記の小委員会では同協会を前身に持つJATI協会の委員が意見を陳述。同協会技術参与の浅見琢也委員は石綿協会から引き継ぎ、公開していたアスベストが一切含まれない製品のリスト「石綿無含有建材一覧表」について、実際にはアスベスト含有の製品が複数含まれていたため公開を中止したと説明した。

別の委員の質問に、浅見氏は「原料として石綿を直接入れてはおりません。ただ並(行して生)産しておりますし、(アスベスト含有の)端材を入れていますので、1%以下(のアスベスト含有)はかなりあると思います」と回答。

さらに「無石綿とあっても(本当に無含有か)わからないと思います」「メーカーに聞いても0.10.2%(の含有)とかはわからない状況です」とずさんな生産管理の実態を明かした。

すでに述べたように、JATI協会は、アスベストは管理使用すれば問題ないとの主張をしてきた日本石綿協会が前身。アスベストを含まないことを謳う製品にすら実際には混入していたとのずさんな管理状況にNPO「東京労働安全衛生センター」の外山尚紀委員は「建材の表示をみてもわからないという状況で、いまでも(アスベストの)管理使用はできているという考えか」などと質問した。

JATI協会の浅見氏は「解体時が中心かと思いますが、製造時の管理は十分できていると思うのですが、いまの段階ではそういう意味では難しいかもしれません。個人的にはそう思います」と「個人的に」との留保付きではあるが、解体現場などにおける「管理使用」が実質的に困難であることを認めた。

「製造時の管理だってできてないから被害者がいっぱい出てきたのだろうが!ふざけたこというな!」とヤジが飛んだ。

製造にかかわっていた労働者らにもアスベスト被害は多数出ており、実際には製造時でさえ「管理使用」などできていなかった。アスベストを一切含まない「無含有」のはずの製品にアスベストが入ってしまっていること自体そもそも製造時に「管理使用」できていなかった明白な証拠である。ヤジは当然の指摘といってよい。

複数のNGO関係者などに確認したところ、同協会関係者が個人的にせよアスベストの「管理使用」ができていない実態について認めたのは初めてではないかという。アスベスト使用を推進してきた団体の幹部がついにかれらの拠り所で、現在もアジアでアスベスト使用が推進される根拠ともなっている「管理使用」について否定的な意見を述べたことは重大だ。

近年ずさんな解体でとくに大きな問題となっているスレートなどいわゆる「レベル3」建材は約4200万トン製造・使用されたと同協会は加盟企業における製造量のデータから公表している。非加盟の製造企業もあり、実際には6000万トン超に上ると2006年に推計されている。

ところが、それらレベル3建材は種類が多く、表示をみてもアスベスト含有か否かを判別することができない。しかも除去時に割ってしまうとアスベストが飛散してしまう。その一方、“非飛散性”などと呼ばれてその危険性が軽視されてずさんな処理が相次いでいる。

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