ブラジルのエタニットSA社の発表資料の一部。「国内市場でのアスベスト繊維の商品化を中止」と見出しだが

◆海外数十か国で販売継続

最高裁がアスベスト(石綿)の使用禁止を命じたブラジルでエタニットSA社が国内ではアスベスト製品の製造・販売を停止したが、アジアなど海外では販売を続けると発表して物議をかもしている。(井部正之/アジアプレス)

ブラジルのエタニットSA社は1月11日、国内市場におけるアスベスト製品の製造を2017年11月27日までに停止し、現在ではセメントタイルの製造にアスベストを原料として使用していないと発表した。国内のタイル製造ではおもに合成繊維が使われているという。

問題は、同社の「戦略計画」では、子会社でアスベスト鉱山を持つSAMA社は国内向けのアスベスト繊維の販売を中止したが、今後も海外市場向けのアスベスト繊維の製造は継続するというのだ。

発表資料には「米国、インド、インドネシア、マレーシアなどアスベストの使用が許可されている海外市場に限定して継続的に事業を進めます」とSAMA社の持つブラジル国内のクリソタイル(白石綿)鉱山の事業継続を表明している。

ブラジルメディア『Arena do Pavini』は「米国、ドイツ、インド、インドネシア、マレーシア、およびその他のアジア諸国など、製品が産業用途に使用が許可されている数十か国」と輸出先はさらに多いと報じている。

ブラジル国内では最高裁でアスベスト製品製造の危険性により生産中止との判断を受けたことにより製造を取り止める一方、海外では販売を続けるとのダブルスタンダードの対応に批判が上がり始めている。

ブラジルのアスベスト被害者団体や国際的な労働組合、アジアのアスベスト禁止推進団体ら6団体は1月15日、エタニットSA社に対し海外でのアスベストの販売継続を停止するよう求める共同声明を公表した。

「ブラジル国内でアスベスト製品の生産が受け入れられないことがエタニット社にようやく受け入れられたという事実は歓迎すべきことですが、(アスベストの)採掘の継続と輸出は受け入れられません。ABREAのメンバーはアスベストにさらされた人びとの運命をよく知っており、わが国がこの有害物質を輸出していることを国の不名誉だと感じている」とブラジル石綿被害者協会(ABREA)のエリエゼル・ホセ・デ・ソウザ代表は今回の対応を批判している。

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