大阪府守口市の旧市役所庁舎解体にともなうアスベスト(石綿)除去をめぐり新たな問題が持ち上がった。約2カ月間かけて丁寧に除去するはずだったアスベストを含有する成形板約6600平方メートルのほとんどがわずか2日間でこっそり撤去されていたのだ。(井部正之/アジアプレス)

工事がずっと止まっているはずの守口市旧庁舎は外壁がぶち抜かれていた(井部正之撮影)

◆こっそりレベル3建材を撤去

守口市の旧庁舎解体をめぐっては、2018年12月10日に調査ミスなどが指摘されて以後、市は工事を停止させていた。

2月上旬、住民からアスベストを含有する可能性のある仕上塗材(壁などの表面に施工する塗材)が使用された外壁をぶち抜いたがれきが散乱する写真を見せられた。また、アスベスト含有建材の除去は始まっていないはずなのに「石綿保管場所」と書かれたコンテナが置かれていることを不安に感じる声も上がっていた。

大阪府環境管理室事業所指導課によれば、12月14日に市と業者から話を聞き、作業はしていないと説明していた。しかし、1月に改めて聞き取りすると、レベル3に該当するアスベスト含有の成形板を一部撤去したと明かしたというのである。どのくらいの範囲を除去したかは不明という。

市に確認したところ、現場で使用されていた、けい酸カルシウム板やビニル床タイルなど約6600平方メートルのレベル3建材の「ほとんど」を12月8日と10日の2日間で除去していたことを認めた。

市財産活用課は「正直なところ、工事を止めた12月10日段階ではダイナ建設(大阪市)からアスベスト含有建材には手を着けていないとの認識だった。後日いつだったかはっきり覚えていませんが、実際にはレベル3の成形板を12月8日と10日にほとんど撤去したと聞いた」と明かす。

大阪府では条例(大阪府生活環境の保全等に関する条例)でアスベストを含む成形板の除去が1000平方メートル以上の場合、作業開始の2週間前に届け出する義務がある。この現場では11月下旬に届け出ており、12月6日以降は作業をできることになっていた。

問題は、12月7日の説明会後に住民が工事の停止や再調査の実施などを申し入れた同10日段階で市は現場の作業に入っていないと説明していたことだ。1月18日の説明会でもアスベスト含有建材を2日間でほとんど除去していた事実は明らかにされず、むしろ「湿潤化のうえで割らないよう手ばらしする」と府条例に基づく適正な処理を強調していたことだ。

現場の隣地に住む今井奈保子さん(38歳)は「アスベストがないところをやっていると思っていた」と驚きを隠せないようすだった。

1月18日の説明会で進捗状況が明かされなかったのはおかしいのではないかと詰め寄られると市側は「たしかにそうですね」と認めつつも「隠すつもりはなかった」と釈明した。