(参考写真)建設工事に動員された「突撃隊」の青年。2011年8月平壌にて撮影ク・グァンホ。(アジアプレス)

◆革命の聖地に観光特区を建設せよ

北朝鮮政府が国連機関に緊急食糧支援を要請し、世界食糧計画(WFP)と国連食糧農業機関(FAO)が、今年137万トンが不足するとアピールしている一方で、金正恩政権が、不急の観光特区建設工事に全国から住民を動員し、食糧や現金の寄付を住民に強要していることが分かった。(カン・ジウォン)

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建設中の観光特区は、北部の両江道三池淵(サムジヨン)郡にある。名勝白頭山の麓で、故金正日氏が生まれた聖地とされている(実際はロシア沿海州生まれ)。

金正恩氏は2016年末に、「革命の聖地を国際的な一級観光地として建設せよ」と命じ、翌年から工事が始まり、以来、最優先の国家建設プロジェクトとなった。昨年、金正恩氏は3回も工事現場を指導、この4月にも現地を訪れている。大変な熱の入れようだ。

しかし、昨年、経済制裁によって資金難と建設資材の不足が顕著になり、目標としていた2018年中の完工予定は延期。今年9月9日の建国記念日までに完成させるとして、突貫工事が続いている。

◆工事現場に常時数万人が動員

そのしわ寄せは住民に向かっている。一つ目は労働動員だ。複数の両江道の取材協力者が現地に入って取材したところ、人民軍の建設部隊が投入されている他、「2.16突撃隊」という建設組織が作られ、全国から選抜された労働者や学生が6カ月交代で働かされている。その数は、厳冬期を除いて、常時数万人に及ぶとみられる。現地ではテント暮らしを強いられているとのことだ。

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