今回の地方の代議員選挙の宣伝ポスター。2019年7月朝鮮中央通信より引用

 

日本は7月21日に参議院議員選挙が行われるが、北朝鮮でも、同日に地方代議員の選挙がある。
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しかし選挙といっても、北朝鮮では立候補するのは当局が選んだ一人だけ。そして、投票率99%、賛成率100%というのが毎度の結果である。つまり棄権や白票を投じることもありえないのだ。

国内の空気はどうなのか? 北部の両江道(リャンガンド)に住む取材協力者に「直前情勢」について聞いた。

「悪い奴らの策動があり得る」という理由で、警備組織を強化せよという指示が下されました。今回は、これまでの選挙と違って、なんと全世帯の住民が警備に無条件で参加させられることになりました。人民班で人を出して3人組を作らせ、2時間ずつ交代で選挙区内のパトロールを24時間行うんです。

さらに金まで出させられました。投票場の建物を花飾りをしたり、ペイントしたりしてきれいに飾るのにかかる費用を出せと言うわけです。「自発的、良心的に費用を出せ」と言うのですが、金額が最低でも2000ウォン(約26円)と決まっているんですから、強要ですよ。一般庶民はうんざりです。

選挙期間中は、人の移動も強く統制します。保安員(警察官)が、人民班長、洞事務長、糾察隊(社会風紀の乱れを取り締まる専門組織)でチームを作って「宿泊検閲」を進めています。他所から来た人間が届け出なしに民家に泊まっていないか、家々を回って検査するんです。

出張や病気の治療目的など正当な理由で来ている人には、『移動選挙』(不在者投票)のために事前登録させています。

投票に行かないなどという恐ろしい選択肢はありません。政治的に問題になります。寝たきりで全く動けない人以外は、皆行きます。

名前は選挙だけれど、実態は人民を統制管理するためのものです。住民たちは、何のための選挙なのか、誰が候補者なのか、関心もないし、知ろうともしませんよ。

2014年3月に行われた最高人民会議代議員の選挙では、各地で投票場の看板が破壊される事件が発生している。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮内に搬入して連絡を取り合っている。(カン・ジウォン)