(参考写真)堂々と中国元で取引する露天商の女性。手に持っているのは1元の釣銭。 2013年10月両江道にて撮影(アジアプレス)

北朝鮮の通貨ウォンは、8月6日に対米ドル、対中国元の実勢交換レートが10%も急落していたのだが、13日に反転し11%も上昇した。北部の咸鏡北道(ハムギョンブクド)と両江道(リャンガンド)の取材協力者が、市場の外貨交換レートを伝えてきた。

北朝鮮当局は、公式には交換レートを1米ドル=約100ウォンに定めている。だが実際には、国際外為市場の動向を基にした実勢交換レートで交換されている。つまりレートは毎日変動するのだ。

2009年11月末、北朝鮮当局は突然、通貨ウォンを百分の一に切り下げる「貨幣交換」を断行した。この際、新ウォンとの交換上限を一人10万ウォンまで、期間は1週間と定めたため、交換不能になった旧ウォンは紙くずになって経済混乱が拡がり、ハイパーインフレを発生させることになった。

しかし、2014年の半ばにウォンの下落は止まった。以降、今日まで米ドルや中国元との実勢交換レートと市場の物価は安定している。

一方で、国民の自国通貨に対する信用は地に落ちたままで、個人のみならず企業や商社の取引は、基本的に外貨建てで行うのが当たり前になっている。

さらに2017年後半に国際社会から科せられた経済制裁の打撃は大きく、2018年度は前年比で貿易収入の90%近くを失った。外貨難は日々深刻化しているのだが、にもかかわらず、通貨ウォンの安定が続くという、まか不思議な現象が続いている。
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