環境省調査から作成したアスベスト除去工事における漏えい率

アスベスト除去工事で外部に飛散させる事例が相次いでいる。漏えい率はじつに4割超。届け出もしているような工事であれば、きちんとしているはず──。そう思ってしまいがちだが、実態はまったく異なる。(井部正之/アジアプレス)

◆通告調査でも約2割で飛散

環境省は8月22日、2018年度の大気中におけるアスベスト濃度調査結果を公表した。これは全国50地点におけるアスベスト濃度を測定したもの。そのなかに現在最大の「アスベスト発生源」である解体現場のデータも含まれている。

アスベストは繊維状鉱物で発がん性がきわめて高く、吸うと数十年後に特殊ながん、中皮腫などを引き起こすおそれがある。そのため吹き付けアスベストなどレベル1~2建材の除去では作業現場をプラスチックシートで隔離養生。負圧除じん装置で作業現場内を減圧してアスベストを漏らさないようにするとともに高性能(HEPA)フィルターで捕集し、清浄な空気だけを外部に排出する。こういった飛散防止対策のうえで、防じんマスクや防護服を着用して作業することになる。

またこうした工事では届け出も必要となる。

届け出がされるような工事ならきちんとしているはず──。そう思われるかもしれないが、残念ながら違う。

同省発表資料のまとめでは読み取ることができないのだが、併せて公表されている各現場ごとのデータに当たると、そのずさんな実態がみえてくる。

発表資料によれば、2018年度に自治体の推薦などにより同省が調査した除去工事は11地点あり、そのうち2地点で外部に空気1リットルあたり1本を超えてアスベストが飛散していた。漏えい率は18.2%。

約2割でアスベストの漏えいがあったことになる。同省調査は、同意した事業者に対し、事前通告した上で測定を実施しており、それでも抜き打ち検査だったらもっと結果は悪かったはずだ。

アスベスト飛散があったのは熊本県と千葉県の除去現場。熊本県では除去現場に作業員が出入りする際に使用するエアシャワーなどが設置された「セキュリティゾーン」の出入口近くで測定したところ、総繊維数濃度で同35本検出し、アスベスト繊維が同23本(クロシドライト51%とアモサイト15%)だった(電子顕微鏡の測定値)。

千葉県の事例ではセキュリティゾーン出入口において総繊維数濃度で同3.7本、そのうちアモサイト2.5本検出(同)。さらにアスベストを除去し、清浄な空気を外部に排出するはずの「負圧除じん装置」排気口でクロシドライトとアモサイトで計10本検出していた。

同省は「使用前の点検の方法に不備があったことから、使用していた集じん排気装置からの漏えいであると考えられました。事業者に対しては、適切な点検を指導しました」という。
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