◆条例違反など認識し不適正作業か

条例違反はまだあった。

調査者協会の担当者は「調べれば調べるほど問題点が出てくる状況があった」と発言していた。それで説明会後市に確認したところ、アスベスト含有建材とみられる成形板を2018年11月27日に除去していたことが業者から提出された作業時の写真データから判明していたのだという。

写真を見せてもらったところ、レベル3建材の成形板とみられるボードを割らずに撤去して2人で運んでいるようすが写っていた、届け出上、レベル3建材の撤去は同12月5日以降でなくてはならなかったのだが、それよりも約1週間前の作業であることが写真データの撮影日時の記録からバレてしまったのである。

興味深いのは、幅90センチメートル、長さ180センチメートルの成形板を割らずに収納できる専用の廃棄物用の袋も用意され、数枚の成形板が中に収納されているようすも写っていたことだ。

報告書に掲載するために数枚だけ適正に除去する、よくある手口である。重要なのは、条例や契約上、手ばらしで割らずに撤去する義務があることを施工業者は的確に理解していたことがこの写真からうかがえる。

手作業で割らずに撤去するよう求める府条例の規制や市との契約で位置づけられた作業方法を知らなければ、あまり流通しておらず高額な、成形板を割らずに収納できる廃棄物用の袋をわざわざ使って「報告書用」とみられる偽装写真の撮影はできない。つまり、施工業者は明確に条例・契約に違反することを認識していながら、同12月6~8日の「バール破砕」による除去をしていたとみられる。

説明会でダイナ建設が不適正作業を認めた際、「現場で指導・監督もできてなかったことを深くお詫びいたします」と謝罪した。あくまで「指導・監督が不十分」だった、つまり意図的に不適正な工事をしたわけではないと言いたいのだろうが、この主張にも疑問が残る。

そもそも約2か月も要すると届け出していながら、わずか3日で撤去するよう指示を出したのは請負業者である同社のはずだ。適正な工事をしたことがあるのなら、その作業に必要な職人の数も当然わかっていたはず。

2月下旬の拙稿〈大阪・守口市旧庁舎のアスベスト建材こっそり撤去 府条例や契約違反の可能性も〉で、府条例や契約通りの適正な作業をするには「熟練したアスベスト除去の職人でも1日60~70人くらい必要です」という優良アスベスト除去業者の話を紹介した。同社は「熟練」を無視し、ようやく約100人確保したというから、人数的に十分足りているとは言い難い。

このことからも、不適正作業となることをはダイナ建設は認識のうえで作業をさせていたのだとみられる。あるいはいつも適正な工事など一度たりともしたことがなかったのだろうか。

説明会翌日の9月20日、府事業所指導課に指導状況を聞いたところ、これら複数の府条例違反の事実を知らなかった。

同24日、府から上記の状況が確認できたと連絡があった。府の担当者は「写真でしか確認できてないが、原形のまま外されてないということで作業基準違反に当たる。今後指導していくことになる」と回答した。

だが、大防法 違反の可能性が高いと府も認めた、本館3階にあったアスベスト含有の仕上塗材が施工されていた内壁を違法に撤去した件で、府は施工業者を指導せず、守口市に対してのみ再発防止を求めた。

そのため7月の説明会でこの法違反について住民から指摘された際、ダイナ建設の担当者は「うちは指導されてませんから」と他人事のように答えた。何も責任を感じていないのだ。

今回府はようやく指導するというが、効果は期待できまい。罰則適用などまずあり得ないことを業者側もわかっているのだ。

結局、旧庁舎解体のアスベスト対策では、事前調査も除去も清掃もすべて不適正だったことになる。しかも条例・契約違反を認識したうえで不適正作業をしていた可能性が高いといわざるを得ない。

守口市は9月の説明会で契約解除などの措置はとらないことを明言した。説明会で一言だけ謝って頭を下げるだけで明らかな契約違反が許されたのだからチョロいものだ。

今後調査者協会の監視のもと、まずは現場の清掃を実施するという。同協会の徹底した監視により、アスベストを飛散させないきちんとした作業となるのか。それが今後の作業の試金石となろう。