(参考写真)検問所で目を光らせる青い制服の交通保安員。2011年1月平安南道にて撮影キム・ドンチョル(アジアプレス)

国連安保理による経済制裁によって、北朝鮮は深刻な外貨不足に陥っているが、金正恩政権の統治の要である保安(警察)機関も財政難に苦しんでおり、保安員(警官)に賄賂稼ぎの課題(ノルマ)を与えて組織の運営資金に充てている実態が分かった。また、保安員が集めた稼いだ賄賂の上納を巡り、権力機関上層部で利権争いも起こっているという。9~10月にかけて北朝鮮内部の複数の取材協力者が伝えてきた。(カン・ジウォン/石丸次郎)

金正恩政権は経済難局を打開するために「自力更生」をスローガンにしている。工場や企業所、国民に対し自助努力で問題を解決しようというわけが、言い換えれば、政府は何もできないので、自力で生き延びろということだ。

咸鏡北道(ハムギョンプクド)の取材協力者は「自力更生」について
「工場のほとんどは止まってしまった。資金もないし、中国から入ってくる原材料もまったく足りない。政府は『自力更生』せよと言うばかりだが、不可能なのは小学生でもわかることだ。市場は沈滞して物が売れない。どこの市場でもコチェビ(浮浪者)が出現している」
という。

◆ガソリンもPCも賄賂集めて調達

政権機関も例外ではない。秩序維持と人民統制を任務とする警察ですら、必要経費がまったく足りない有り様だという。10月に入って両江道(リャンガンド)の取材協力者は次のように伝えてきた。

「最近では、資金難の保安(警察)署が取り締まりの範囲を広げている。組織の運営に必要なカネを作るためには手段と方法を選ばないといった風で、賄賂やタカリの上納ノルマを保安員に課しているほどだ」

稼ぎの中心になっているのは監察課と交通課だ。監察課は機関と企業所の不正取り締まりを担当するが、問題を探し出して大っぴらに金銭を要求している。

「恵山市内にある製紙工場が、運営資金が枯渇したため、原材料の木材を個人に販売したことが監察課に発覚して、保安署で使う燃料100キロを要求された。他の企業所では、住民登録用のコンピュータの交換費用を出せと言われた所もある」
両江道の協力者はこう述べる。これでは罰金ではなく、まるで恐喝だ。
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