違法工事を実施したあげく住民にアスベストは「飛散しない」などとトンデモ発言を施工業者が繰り返した愛知県豊橋市の旧生活家庭館解体をめぐる問題で飛散の証拠が見つかった。12月13日、市が屋根上の泥からアスベストを検出したと発表したのである。(井部正之/アジアプレス)

愛知県豊橋市の旧生活家庭館で起きた違法工事後に設置された看板。「石綿封じ込め工事等」の養生外でアスベストが検出(井部正之撮影)

◆土壌調査は指導せず

豊橋市の市有施設・旧生活家庭館では1987年に一度吹き付けアスベストを除去した。今回の解体にあたって市建築課が調べたところ、狭あい部に残存が見つかった。そのため市は仕様書に除去の手順を記載して発注した。

発注仕様の手順では現場をプラスチックシートで密閉に近い状態にする「隔離養生」したうえで内部を減圧し、高性能フィルターを備えた負圧除じん装置を設置して外に漏れないようにしつつ、吹き付けアスベストを除去。その後屋根を撤去する予定だった。

ところが、工事を請け負った林光土建(同市牟呂町)は9月4~5日、解体時のアスベスト対策を定めた労働安全衛生法(安衛法)石綿障害予防規則(石綿則)や大気汚染防止法(大防法)の規制や市の仕様書の手順を無視して屋根を撤去した。しかも同27日に市の立ち入りで見つかるまで3週間あまり吹き付けアスベストがむき出しのまま放置された。

施工業者・林光土建の林東吉社長は11月の説明会で同社の違法工事やその後に放置された期間においてアスベストが「飛散しない」などとトンデモ発言を繰り返した。

しかし、豊橋労働基準監督署は9月27日、「労働者に急迫した危険がある」場合にのみ適用する異例の作業停止命令(安衛法第98条)を掛けていた。

同監督署は筆者の取材に対し「危険な状態だった。放置したら(アスベストが)飛散する可能性がありました」と明言している。市環境保全課も飛散の可能性を認めて指導しているし、市建築課も同様の見解だ。

適正な対策なしに屋根を撤去し、3週間あまり風雨にさらして放置していた以上、現場周辺へのアスベスト飛散・散乱の可能性がある。ところが、不可思議なことに豊橋労働基準監督署や市環境保全課も現場周辺の調査については指導しておらず、市も自ら調査をしてこなかった。また外部の清掃についても実施されていない。