(参考写真)街頭で住民の移動に目を光らせる保安員(警察)。2011年1月平壌市郊外で撮影キム・ドンチョル(アジアプレス)

北朝鮮政権は、元旦恒例の金正恩氏の「新年辞」を今年は発表しなかった。

昨年末の12月28日から31日までの4カ日間、労働党中央委員会全員会議が開催されたが、年が明けると、すべての住民にその報告を暗記するよう求めている。昨年まで「新年辞」を暗記させられていたのと同様のやり方だ。
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この「全員会議」の報告は、職場や行政機関、女性同盟などの社会団体に「通達」と呼ばれる学習資料として配布され、問答式や競演(コンテスト)式で暗唱を競わせる集まりが続いている。

「学習させられた『全員会議』の報告は、予想した通り『自力更生』をやたらと強調するだけの内容だった。それよりも気になったのは、学習会で『再武装』が強調されたことだ」と、両江道の取材協力者が、1月9日に伝えてきた。

組織や職場で開かれた学習会は、党の幹部が「通達」をもとに進行する。その中で党幹部が「昨年は帝国主義者らの経済封鎖の苦難の中で、屈服する弱々しい幹部や、精神的・思想的に緩んだ人々が出現したが、彼らを党の方針通りに、『再武装』させると強調したのだ」と、協力者は述べた。

北朝鮮国営メディアで公開された「全員会議」の報告は、冒頭の「前代未聞の厳しい難局を正面突破して…」という言葉で始まる。これは、国際社会の経済制裁によって国内経済が極めて厳しい状況にあることを、金正恩政権が認めたものと解釈できる。

学習会で幹部が強調した「党の方針通りに、『再武装』させる」という文句は、金正恩指導部が、困難打開のために党、軍、行政の幹部に無理な指示を出したものの、結果が不十分だったり、執行できなかったりした事案が相当あったことを推測させる。

「再武装」という用語が登場したことについて、北朝鮮の権力構造に詳しい韓国在住の
脱北者は次のように分析する。

「いくら金正恩の命令でも、できないものはできないわけで、具体的な方策抜きで『自力更生』せよと指示された幹部たちには、命令を執行できない者が続出したはずだ。

『再武装』させるというのは、党、つまり金正恩の出す方針に絶対服従させよということだ。つまり、幹部の引き締めと無理強いの強度を高めると言うこと。今後、処罰・粛清される者がたくさん現れるのではないか」

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