金正恩氏は新型肺炎流入阻止のため中国国境を封鎖した。写真は2019年5月の労働新聞より引用

◆国際赤十字などが週内に送る予定

国際機構のコロナ肺炎禍支援物資が、ようやく北朝鮮に搬入される見込みが出てきた。国際赤十字、ユニセフ、国境なき医師団などが準備した物資は、中国側の国境都市・遼寧省丹東市に届いたと、3月17日の韓国メディアが伝えている。

国連安保理は、各機関のコロナ肺炎防疫のための北朝鮮支援申請を、2月21日に異例の速さで制裁免除承認している。しかし、北朝鮮が国境を完全封鎖して輸送の見通しがまったく立たない状態が続いていた。

支援機関は顔面保護帯、防護眼鏡、マスク、体温計、防護服、手袋、消毒薬、感染検査キットと機器などを送る予定だ。現時点で北朝鮮にとって重要なのは感染検査キットだろう。

北朝鮮政府は3月17日時点まで「感染者ゼロ」との発表を続けているが、そもそも「感染を検査する手段なかった」可能性が濃厚だ。

◆地方は病院でも感染検査皆無

アジアプレスでは、北朝鮮国内の取材協力者が中国国境に近い両江道恵山(ヘサン)市、咸鏡北道茂山(ムサン)郡、会寧(フェリョン)市などで、実際に病院に行って調べたり、防疫当局者と接触したが、コロナウイルス感染検査をしているという情報は一件もなかった。

「病院では咳が出たり発熱の症状のある患者には、風邪薬を処方して薬局で買わせるだけ。あとはマスク着用を指示する程度」というのが共通した診察内容で、1月以来、現在まで続いている。

ただ、金正恩政権のコロナウイルス流入遮断策は台湾と同様に迅速だった。春節前の1月22日に中国人観光客の入国を止め、1月末には中国国境を完全に封鎖。それまでに中国人と接触していた人を徹底隔離した。人権や個人の都合を無視しできる強権体制ゆえ、初期の流入遮断には、大きな成果があったものと思われる。

しかし、少数であっても感染者が存在した場合、その動線を把握しないと拡大を避けることが難しいのは、中国はじめ各国の事例を見れば明らかだ。台湾で感染者が少ないのは、初期段階で中国との往来遮断した後、感染検査と情報公開、啓蒙をしっかり行ったからだ。後者を北朝鮮はまったくできていない。