広島県選管から開示された二種類の選挙運動収支報告書。問題点を選管がメモ書きしたものと(上)法定上限額を下回るように修正されたもの(下)。

◆一般公開まで差し替え可能は大問題

二つの選挙運動収支報告書が存在することについて広島県選管に質問したところ、「記載漏れ等の形式的な不備を指摘しました。選挙運動収支報告書を閲覧に供するまでは,差し替えを含む修正を受付けていますが,閲覧に供した後は,訂正としての受付となります」との回答があった。

「閲覧に供する」とは、要するに一般公開のことである。公職選挙法では、投開票日から15日以内に選挙運動収支報告書を提出することが義務付けられている。だが、選挙管理委員会が公表するまでは全面的に差し替えができることになる。言い換えれば、有権者が見ることができるのは公表された収支報告書だけで、公表される以前のやり取りに関しては、知ることができないのだ。

広島県選管では、投開票のあった7月21日から約半年が経過した2020年2月13日に、河井議員以外の選挙運動収支報告書の要旨を広島県の県報に公表している。しかし、河井議員のそれは、公選法違反の捜査上の関係で必要な書類がそろわないため5月3日現在も公表されていない。

このことについて、政治資金問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は以下のように指摘した。
「広島県選管は差し替えを認めてしまっていますが、河井候補の選挙運動費用収支報告書はいったん選管に提出されたのですから、差し替えを認めるべきではありません。差し替えを認めてしまうと、法令に違反した報酬の支出を有権者は発見できないからです。今回は、たまたま差し替え前に情報公開で入手していたので、法令違反の報酬の支払いが、車上運動員以外にもあったことが確認できたにすぎません。公職の候補者側が差し替えを求めても、最初の記載が残るように訂正させるだけにすべきです」