(参考写真)平壌市中心部のアパート街で中国製のソーセージを売る女性。2011年7月モラン区域にて撮影アジアプレス

◆交換・返金応じない流通当局とトラブル頻発

コロナウイルス防疫のため、金正恩政権が1月末に中国国境を封鎖して以来、中国に依存していた生活必需品や食料品などが入って来ず、住民の生活に大きな支障が出ている。当局は「自力更生」を強調して国産化を督励しているが、国産の食品の品質に問題が相次ぎ、トラブルが多発している。

北部の咸鏡北道(ハムギョンプクド)の取材協力者は5月14日、「中国製品が枯渇したため、わが国産の食料品が国営商店や市場でたくさん売られるようになったが、カビが生えたり、傷んで腹痛を起こしたりする人が続出して、返金や交換でトラブルが多発している」と伝えてきた。

北朝鮮の日用品の市場では、衣類から雑貨、果物、食品に至るまで、1990年代後半から中国製品が圧倒的なシェアを占めていた。経済危機で生産が麻痺してしまったところに、世界の工場に成長した隣国・中国から、安価な製品が大量に流入して、市場を席巻してしまったのである。

ところが、2000年代後半から、「中国から入ってくる食品は、向こうで見向きもされない低品質なものが多く、健康に悪い」という情報が広がり、中国産の食品に対する不信が生じるようになった。

国産品を求める機運が広がり、パンや菓子、乾麺、飲料水などは、市場で中国産と伍していけるほど競争力を持つようになった。中国との貿易が中断状態にある今、国産食品の生産は成長を遂げるチャンスでもある。

◆中国製の原料、防腐剤、添加物入らず

ところが、現実には逆の現象が起き始めているという。中国製の原材料抜きでは、国産品をまともに生産できないという現実が突きつけられたとして、協力者は次のように説明する。

「国産品と言いながらも、中国製の生産原料や防腐剤、調味料、添加物などを使っていたわけだ。それらが手に入らないまま作るため、菓子、パンなどはすぐにカビが生えたり、傷んだりしてしまう」

食品の容器や包装も、中国から導入した機械で、中国から輸入した材料で作ってきたため、大きな支障が出ているそうだ。
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