名古屋市の市営地下鉄・六番町駅構内で2013年12月に高濃度のアスベストが飛散した事故の責任をめぐり、市と業者が民事訴訟で争っている。(井部正之/アジアプレス)

2013年12月中旬に高濃度のアスベストが飛散した名古屋市営地下鉄・六番町駅構内の機械室前(2013年12月撮影)

◆超高濃度のアスベストが駅構内で飛散

この事故は同市の市営地下鉄名港線・六番町駅(同市熱田区)構内で2013年12月12日から13日にかけて、もっとも発がん性の高いクロシドライト(青石綿)が最大で空気1リットルあたり700本飛散し、利用者らが曝露したもの(アスベスト以外も含む総繊維数濃度だと同最大1000本)。住宅地のアスベスト濃度は2012年度当時、平均でわずか同0.13本。通常の5000倍超という超高濃度のアスベストが駅構内で飛散するという前代未聞の事故だった。ちなみに2018年度の住宅地のデータでは同0.26本。これと比較しても約2700倍となる。

当時、市交通局は六番町駅構内にある機械室のアスベスト除去工事を計画。同12日の作業開始と同時に市環境局が改札内の機械室前で測定を実施。翌13日に上記のアスベスト飛散が明らかになった(速報値は同710本)。

訴訟は、市が飛散事故の原因は工事を請け負ったライフテック・エム(同市)にあるとして、事故後の対応で要した約2143万円を支払うよう同社に求めて2017年3月名古屋地裁に提訴したもの。

もともと市交通局は除去工事を約889万円(税込み)で委託。ところが工事が途中で停止したため、実際に除去した範囲のみ出来高で400万円超を支払っている。市交通局営繕課によれば、今回の訴訟はその減額とは別に事故後の現場調査や対策、健康リスクの検討会実施に要した費用など、「事故によって生じた損害すべて」を請求している。

市によれば、訴訟で同社は「(アスベスト飛散は)除去工事に起因したものではない」などと責任を否定。除去現場外のアスベストが飛散の原因として、むしろ「市に(飛散事故の)責任がある」などと反論しているという。

同社が当時実施したアスベスト除去工事では、機械室内をビニールシートで外部から隔離したうえで、高性能(HEPA)フィルターでアスベストを除去し、清浄な空気を排出する負圧除じん装置も3台設置していた。

そのため、同社は当時から「工事は完璧だった」「自分の責任ではない」などと主張してきた経緯がある。