大阪府守口市の旧庁舎解体でアスベスト(石綿)の調査ミスが多数見つかった。それだけでなく、不適正工事も相次いでいた。除去工事が完了して5カ月。改めて現場で何が起きていたのか振り返る。(井部正之)

◆結果だけなら「英断」?

守口市の旧庁舎解体をめぐっては、もともとアスベストの事前調査結果を示す掲示がおかしいことに住民が気づいたことが問題発覚のきっかけだ。2018年12月アスベストの調査が不適正と指摘され、市は工事の中断を余儀なくされた。

その後住民の求めに市はすんなりというわけではないが応じて、2019年2月、専門的知見を有する第三者機関として「建築物石綿含有建材調査者協会(貴田晶子代表理事)」に現場の再調査を依頼した。その結果、計167カ所におよぶ調査ミスが発覚した。すでに8~9割がたアスベストを含む成形板などが撤去された後だったにもかかわらずだ。

しかも、もっとも危険性が高い「レベル1」の吹き付けアスベストが計10カ所にわたって見逃されていた(アスベストを含む建材は飛散リスクの高い順にレベル1~3に分類)。

市はレベル1の吹き付け材を含めて調査ミスだらけのまま解体に着工し、アスベストが大量に飛散する事態をぎりぎり回避できた。工事を停止し、第三者機関への再調査委託を決めた市の対応は、結果だけみれば「英断」といえよう。

だが、第三者機関による再調査が実現して以降だけを取り上げても、実際には問題が少なくなかった。

再調査の結果を初めて示す同5月の説明会で、市は参加を市民だけに限定。市外からの通勤・通学者に加えて調査ミスを指摘してきたNGO関係者らを排除した。しかも調査者協会による報告書のごく一部しか配布せず、調査ミスの説明も概略のみ。計167カ所という見逃したアスベスト建材数すら知らされなかった(同9月の説明会で開示)。

不適正作業があったことについても簡単に触れただけ。大気汚染防止法(大防法)や労働安全衛生法(安衛法)石綿障害予防規則(石綿則)違反が複数あったうえ、アスベストが飛散した可能性があることを説明せず、その件で謝罪もしなかった。大阪府などに相談や報告もしておらず、筆者の問い合わせで府が指導に動くありさまだ。

あげくにほぼ当初計画のまま約1カ月後に除去工事を再開するとぶち上げた。こうした強引な対応が「誠意がない」と住民の怒りを買った。