【兵士に撃たれた直後の長井健司氏(映像:DVB)】

2012年、山本美香さんがシリア•アレッポ取材中に亡くなった。2007年には長井健司さんがミャンマー国軍兵士の銃弾に倒れた。映像ジャーナリストは日本に何人いて、どのよう危機管理を心がけているのか。
大マスコミは、なぜリスクの高い取材をやらなくなったのか。第一線で活躍するジャーナリストの具体例をもとに危険地帯取材の裏側を見る。(アーカイブ記事を再構成)

長井はパレスチナ、イラクなど現代の戦争や紛争を取材してきた経験豊かな映像ジャーナリストであり、混乱の予想されるビルマへ行くことにも躊躇はなかったに違いない。射殺された瞬間を記録したビデオからも、彼がデモの人々と鎮圧にあたった軍、警察の衝突の最前線で取材をしていたことがわかる。

その場所を選ぶのはもっとも迫力のある「絵(画)」を撮るためであり、カメラを持つ人間ならきわめて自然なポジショニング(位置取り)である。
ただ、今回の場合、デモ隊への発砲をためらわないビルマ軍兵士との距離感が妥当であったかどうか。

「判断ミス」はなかったのか。
「死」を避けることはできなかったのか。
長井の死については、私なりの見方があるが、それは後述する。
この稿ではマスメディアに所属する企業内ジャーナリストとの差異に留意しながら、フリーランスの現状とあり方について考えていきたい。

前半部でフリーランスの現状を大づかみに把握したうえで、後半部は「なぜフリーランスなのか」というジャーナリストの「志」の部分をマスメディアと対比しながら、述べてみる。
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