080815_APN_haekyong_001.jpg【韓恵英さんの娘、ミンギョンちゃん(小1)は毎日、塾や習い事に大忙し】

「小学校1年生の娘にピアノ・美術・朝鮮舞踊・学習塾・英語を習わせ、毎月平均40万ウォン(4万5千円)を、学校以外の習い事に費やしています。遊ぶ時間もなく、疲れた顔をしている娘を見ると、可哀そうで、申し訳ない気持ちがします。

だけど、周りの生徒のほとんどが塾に通っているので、『負けちゃいけない』という気持ちで、家計の負担を我慢しています」
京畿道に住む韓恵英(ハン・へヨン)さん(37)は、こう言う。
とにかくたくさん遊ぶべき小学校1年生が、大人より忙しい日々を過ごしている。今の韓国では、どこにでもある光景だ。

韓国の大学進学率は現在84%で世界一だが、親の教育熱は”熱狂的”だとも言える。1980年から20年間、「課外授業禁止法」があって、学校外教育にはある程度規制されていたが、2000年に同法は廃止された。それから教育費は急増し続け、06年の韓国統計庁の調査によれば、4人家族の生活費のうち、教育費はなんと平均34.4%を占めるという報告もなされた。

小・中・高校生の早期留学が、2000年に自由化されて急増し、「キロギ・アッパ」なる新造語まで出来た。韓国語で「キロギ=雁(かり)」、「アッパ=父」を意味する。母は子を連れて留学先に行き、父親は韓国で単身で稼いで渡り鳥のように家族との間を行ったり来たりすることを言う。

「朝食はパンで、夕食はお酒とつまみです」という金練珍(キム・ヨンジン)さん(40歳・自営業)も「キロギ・アッパ」だ。2年前、妻と小学校2年生の息子、6歳の娘をシンガポールに留学させた。英語と中国語が同時に勉強出来るというメリットから同国を選んだという。

「毎月、収入の7割ぐらいの40万円ほどを仕送ります。家族が恋しくなって、留学させたことを後悔したこともありますが、子供たちの将来を考えると、競争が激しい韓国より、自由に勉強できる海外の方がいいと思います」
金さんはとりあえず、長男が中学校を卒業するまで留学させようと考えている。年に3、4回しか家族に会えない日々がこれから7年間も続くというのだ。
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