脱北者の「韓国脱出」に対し、韓国人一般の感情は決していいものではない。
脱北者たちを受け入れて、税金から一人当たり140万円に及ぶ定着金を給付しているのに、不運な身の上を嘆くばかりで努力せず、あげくには、韓国では暮らしていけないと、自らまた海外に出て行く人が続出しているのだから…。韓国社会に溶け込んで頑張ろうとしている他の脱北者にも、悪影響を与えている。

北朝鮮人権団体 NKnetの金允泰(キム・ユンテ)事務総長は言う。
「海外に亡命申請をするのは個人の自由だが、韓国ほど脱北者の支援制度が整っている国はない。韓国で定着できなかった人々が外国に出てうまくいくとはあまり思わない」
金氏によれば、海外に出て行ったが言葉の問題や文化の違いでうまくいかず、また韓国に戻ってくるケースも少なくないという。

これらのケースとは異なるが、日本入りを果たして定着している脱北者の数も170人に達する。1959年から始まった帰国事業で北朝鮮に渡った在日朝鮮人とその子どもたちだ。
北朝鮮から住民の大量脱出が始まって10年余りがたち、「脱北者問題」は日欧米を巻き込んだ国際問題になった。
その根本原因は北朝鮮にある。北朝鮮が民主化に向かわない限り、問題は広がるばかりだ。
(サンデー毎日「朝鮮半島を読む」掲載記事を加筆・修正)

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