内部記者が撮った! 北朝鮮最新事情 5
写真 チャン・ジョンギル  解説 石丸次郎

◆運ぶ 上(撮影日:2008年8月から9月中旬 場所:平壌市郊外江東郡)
今回は「運ぶ」というテーマで、チャン・ジョンギルの撮影した写真を見ていただきたいと思う。「運ぶ」つまり、輸送・移動・流通の問題は、現在の北朝鮮にとって経済の停滞と不振の象徴だといっていい。

北朝鮮の物流は、日本の植民地期に敷かれた鉄道網を物流の基本としてきたが、外貨不足による老朽化・メンテナンス不良、技術の停滞、エネルギー難などで、90年代に入ると、鉄道網はすっかり麻痺してしまった。なにせ、植民地時代に使っていた蒸気機関車が90年代後半まで現役で走っていたという有様なのだ。この他、レールや枕木を留める釘にも、一部で植民地時代のものがいまだ使われているというから恐れ入る。

予定通りの時刻に列車が発着することはほとんどなく、運行がとても不安定なため、最近では中国や日本から入る中古トラックやバスを使って人とモノを運ぶのが主流になっている。これも市場経済の急発達によって、「運ぶ」ことの需要が急増したからである。

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荷台に人を満載したトラックは軍用車。商売のために移動する人々から金を取って乗せている。タイヤや部品調達のための軍隊のアルバイトだという。

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こちらはダンプに人を乗せている。このように荷台に人やモノを乗せて運ぶサービスのことを、人々は「サービ車」と呼んでいる。「サービス」と「ソビ(消 費)」が掛け合わさった言葉だと思われる。民間で運営することはありえず、軍や警察や国営企業が傘下に会社を作って運営するケースがほとんどだという。
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