工場に行く子どもたちはこんな歌を口ずさんだりした。
工場の高架の見張り
どれほどいやな奴らだろう
ぼくらが入ると
ふたつの目でにらみつける
勇ましい子どもの偵察兵
飛び上がり後ろ蹴り
どいつもこいつも見張りだな
硫酸水のタンクにどっぷり
どれほどやるせなくて、子どもがこのような歌までうたうのだろう。また、こんな歌もうたった。
マグネシア配合場のコンベアーベルトに乗る
ぼくたちはコークス偵察兵
荒々しい保衛隊が前をふさいでも
ぼくらはコークスを盗ってやる
マグネシア配合場、小さな穴を掘る
ぼくたちはコークス偵察兵
父さん、母さんの言いつけどおり
一日に15回はやってやる

ここでよくやったのは「ドロス盗り」作業だった。ドロスとは亜鉛を溶かすときに、泡といっしょにできるものである。ドロスのかすを網ですくったときに、小さな亜鉛玉が出てくるのだ。

子どもたちは、ボロをまとって工場にウワーッウワーッと叫びながら盗みに通った。ある日は、兄さんがつかまり叩かれているのを目の当たりにしたけど、私たちは生きていくために盗みに通い続けた。

ある子は、2階で追いかけられて逃げる時に落下し、足の骨が折れてしまった。
その子は8歳にしかなっていなかった。

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