「天も'あいつら'の味方か」と嘆く住民たち
北朝鮮北部の両江道白岩(ペクアム)郡で豪雨のため人命被害が出ていると、25日、イム・チョミ通信員が伝えてきた。イム通信員によると、前日から降り続いている雨が川を氾濫させ、五つの橋が流されるなど、大きな被害が出ているという。山間地域では退避命令が出ており、人々は家を捨てて安全な場所に逃れているとのことだ。この過程で7名が死亡、さらに少なくとも数名が行方不明になっているという。また、交通手段が途絶して同地域の孤立も懸念されているという。

被害に直面した住民は「天もあいつら(権力者)の味方か」「ただでさえ食うものも無いのに、天までもが我々を苦しめるのか」などと、口々に嘆いているという。また、「この雨のせいで流通が寸断されることにでもなれば、コメの値段が上がってしまう。この先一体どう暮らしていけばいいのか」と、食糧が絶対的に不足している春窮期に突如襲った大水の影響を心配する声も多いと、イム通信員は伝えて来た。

北朝鮮では燃料不足から木を切って薪にしたり、食糧難のため山の斜面を焼畑にして耕作するなど、90年代から過度な樹木の伐採が行われてきた。この結果、全国的に森林が急激に減少した。2009年に韓国ソウル大学環境大学院のパク・チョンファ教授が行った研究によると、北朝鮮の全面積の11.3%にあたる、1万3878緕「もの土地がはげ山であるという。このため、山の保水力が衰え、まとまった雨が降るたびに洪水や土砂崩れなどの水害に悩まされてきた。

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1999年に撮影された、両江道の道都恵山(ヘサン)市の山。この当時から急斜面もすべて焼畑になっている。「21世紀の太陽金正日同志万歳」というスローガンがむなしい。1999年8月中国側から撮影。 撮影:石丸次郎 cアジアプレス、石丸次郎

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2009年に撮影された、咸鏡北道茂山(ムサン)郡の山。山頂まで全て焼畑になっている。2009年6月中国側から撮影。 撮影:石丸次郎 cアジアプレス、石丸次郎

北朝鮮では今後、6月から8月ころまで雨量が増える季節を迎え、今回のような災害が増えることが懸念される。(李鎮洙)

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