机も椅子もない!
リ:あなたが担任の先生ですか? 私はミョンチョルの叔父です。
先生:あら、そうですか、今日は何のご用ですか?

リ:最近ミョンチョルが学校に行きたがらないので理由を聞いたら、何と教室に机と椅子がないから嫌だと言うじゃないですか。自分の机と椅子は自分で準備するなんておかしな話だし、机と椅子がないから学校に行けないなんて聞いたことがない。いったいどういうことなのか詳しく話を聞きたくて、学校まで来たというわけです。
先生:そうですか......。確かに、机がないから学校に来られないなんて変な話ですよね。でもご心配なく。ミョンチョルの机は私が骨を折ってきちんと確保しておきました。

リ:えっ、解決した? それならいいのですが、確保したなんておっしゃるところを見ると、やはり机の数が元々足りなかったということですか? 今の学校は、机と椅子も満足に支給されない状況なんですか?
先生:支給だなんて、ミョンチョルの叔父さんの頭の中はまだ共産主義社会のようですね(笑)。お宅には学校に通う子どもがいないんですか?

リ:うちの子は随分前に学校を卒業したから。
先生:うちの学校は、七〇年代の終わりと八〇年代の初めに机と椅子を国家から支給されてからずっと、その時の設備のままで運営してきました。でもさすがにガタがきて、仕方なく九七、八年度から自主的に机を作り始めたんですよ。

リ:自主的に? 机を作り始めた?
先生:そうです。いくら待ったって新しい机が支給されるわけはありませんので、なんとか材料をかき集めて机を作り始めたんですが、そこに新しい将軍様のマルスム(注2)が降りてきて、机の形を新しくしろというじゃありませんか。どうやらある人民学校を視察した際に見た机の形をいたく気に入ったらしく、全国の机と椅子をその形にしろというものでした。昔の机を覚えていますか? 二本足のあれ。
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