平安南道のある家庭の夕食に出されたトウモロコシ飯。食べ慣れないと消化できず下痢をする。冷めると固くなって飲み込むのが大変だという。(2008年6月 ペク・ヒャン撮影)
平安南道のある家庭の夕食に出されたトウモロコシ飯。食べ慣れないと消化できず下痢をする。冷めると固くなって飲み込むのが大変だという。(2008年6月 ペク・ヒャン撮影)

 

インタビュー:強制送還された脱北女性の証言6
聞き手 石丸次郎

◆〈インタビュー 1〉Aさん (6)
取材:二〇〇八年九月

食事
Q:食事は主に何が出されますか?
A:トウモロコシ飯(トウモロコシを粉砕して米粒ほどの大きさにして炊いたもの)。トウモロコシ飯もお碗に入れてくれません。罪人だからという理由で《団地飯》(型で固めた塊)にして出されます。電気が来る時はそれでもトウモロコシ飯を作ってくれるが、電気が来ない時はトウモロコシをそのままゆがいて、そこにトウモロコシ粉を少し混ぜて固めたものです。

Q:おかずは?
A:おかずなんて特になくて、塩漬白菜だけ。トウモロコシ飯に塩漬白菜汁だけです。ジャガイモが出たこともなかったなあ。一日三食トウモロコシ飯でした。

Q:重労働だから、たくさん食べないとやっていけないでしょう? 北朝鮮の国家基準では七〇〇グラムが基準配給量ですが、足りていましたか?
A:普通の生活からすれば、量は少なくないかもしれないけれど、(重労働な上)監獄の中では油気のあるものを摂取できず、トウモロコシ飯だけだからまったく足りませんよ。だから、お腹が空いて耐えられなくなって、カエルを捕まえて食べる人がいるんです。

Q:あなたもカエルをとって食べたことありますか?
A:私はカエルまでとって食べませんでした。カエルを食べなかったからこそ生きているんですよ。カエルを捕まえて皮だけ剥がして生のまま食べる人もいましたし、ドジョウを生のまま食べる人もいましたが、生で食べたら死ぬことがあるんです。汚染されていて、あたる。煮て食べないといけない。一班に五~六〇人も人がいるので茹でて食べるのも簡単じゃありません。それで生で食べる人がいるんです。カエルやドジョウを生で食べた人で、食中毒にならない人はいません。それで下痢をすると弱って死んでしまうことがあるんです。

Q:カエルをとって食べるのもお腹が空くからですよね。あなたは空腹の時どうしましたか?
A:お腹が空いた時は、春季は田畑から出るセリ、ナズナを食べます。いくらお腹が空いてもカエルを食べるのは我慢しました。生きて甑山(ジュンサン)から出て行ってこそ子どもにも会えるわけだから。お腹が減っても耐えなければと思って。
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