4 耳が聞けて、ものが言えて、目が見えて、体を動かせる七〇歳までの女性を、女性同盟で組織的に網羅し、徹底的に掌握、統制すること。
一見、至極当然のことを言っているようにも見えるが、何が北朝鮮の女性たちを怒らせたのだろう。
まず一つ目の指示について。これは、女盟の構成員を違法な会費徴収から守ることが目的ではない。本当の目的は女性たちをジャンマダンでの活動から切り離そうということなのだ。

この水増しの五〇〇ウォンや一五〇〇ウォンというのは、主婦が市場に出るために、つまり女盟の活動を休むことを認めてもらうために、女盟の幹部たちに渡す袖の下なのである。これを禁止するというのは、給料も配給も出ない職場であっても出勤しなければならない男たちに代わって、家族を養うため商売している主婦に対し、ジャンマダンに出るなと言っているようなものだ。庶民の暮らしの現実を全く無視した指示と言わざるをえない。

二つ目の指示もわけが分からない。そもそも家庭内の問題はその家庭で解決すべきで、組織が指導したり思想闘争で解決できる問題ではないはずだ。北朝鮮女性たちが自力で向上させた地位を認めずに、またもや封建的な家庭の隅に女性たちを追いやろうとするものだ。盧委員長の特別指導とやらは、単なる女性冒涜であって女性のための組織の長が言うべきことではないはずだ。女盟がそれほどまでに男性の地位の上昇を望むのであれば、男も自由に市場活動ができるように、「提議書」を党の中央に提出すればいいのだ。

三つ目の指示は、二〇〇八年の八月一五日にも一度出されたものだそうだが、その常識を疑わずにはいられない。九〇年代、庶民が餓死し、子どもたちが浮浪児となっても、はたまた女性たちが家庭を失い呆然自失しても、労働党の幹部たちは平然としていたというが、今や女盟の幹部までもが、生き抜くことに苦悩している女性たちの口を塞ごうとするのか。

女性同盟は何様のつもりで、一般民衆の世論を封じ込めようとしているのか。二一世紀の現代に餓死者を出す国の失策に、平然と加担する女性組織があることを知れば、世界は驚愕するだろう。
四つ目も噴飯ものだ。「夫を非難したり、舅(お年寄り)をぞんざいに扱い虐待」してはいけないと「道徳」を説いていた女性同盟の代表が、同じ舌で老人を虐待せよと公言するにも等しい。
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