政府が指定する外貨交換所以外での外貨両替を認めていない北朝鮮で、ヤミ両替が公然と行われていることが、北朝鮮内部で撮影された映像や、住民の証言で明らかになった。
今年6月、平安南道の道庁所在地である平城(ピョンソン)市の大通り。道端に座っている二人組の女性が、歩いている撮影者に声をかける。

平安南道の平城(ピョンソン)市のヤミ両替商。平城市は北朝鮮の流通の中心だけあって、外貨が盛んに使われていると「リムジンガン」の金東哲記者は言う。2010年6月 撮影:金東哲(キム・ドンチョル) (C)(アジアプレス)
平安南道の平城(ピョンソン)市のヤミ両替商。平城市は北朝鮮の流通の中心だけあって、外貨が盛んに使われていると「リムジンガン」の金東哲記者は言う。2010年6月 撮影:金東哲(キム・ドンチョル) (C)(アジアプレス)

 

「換えますか?」
「ピーはいくら?」
ピーとは中国人民元を表す隠語だ。撮影者が聞き返すと、女性は手に持った電卓を叩きながら
「12000」
と慣れた口調で答えた。100元を12000ウォンで交換してくれるという意味だ。

しばらくすると、また別の女性が両替を勧めてきた。わずか5分足らずの間で3人のヤミ両替人に声をかけられる様子が映像に収められている。周囲の目や取締りを気にする素振りは全くない。

この映像を秘密裏に撮影した、北朝鮮内部情報誌「リムジンガン」の金東哲(キム・ドンチョル)記者は
「平城市の一角に外貨をヤミ両替したい人が集まる場所があるんです。ヤミ両替は違法で、この(交換を勧める)女性たちももちろん取締りの対象ですが、気にもせず堂々とやっていますよ」
と、ヤミ両替が公然と行われている様子を語った。

北朝鮮政府は昨年11月30日に「デノミ」措置(貨幣交換、通貨単位ウォンを100分の1に切り下げ)を強行した。新ウォンに交換できる旧ウォンの額に上限を設けることで、国民の財産を実質的に没収した。
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