砲撃事件の背景を考える 1
23日午後に発生した北朝鮮軍による延坪島砲撃は、北朝鮮の政治指導、指令体系から考えて、金正日総書記の承認があったのは間違いない。
軍部の独自の判断、前線部隊の勝手な行動の可能性はあり得ない。

金総書記のみが国家と政治を指導する「唯一指導体系」のシステムの中では、今回の砲撃事件のような重大かつ高度な判断を要する作戦は、金総書記自らが立案・指示するか、下部が立案して「提議書」が上げられ、金総書記が承認するかのどちらかである。

どんな高位幹部であっても、軍の最高実力者である李英鎬(リヨンホ)大将であっても、独断で実行することはあり得ない。
作戦が成功しようが失敗しようが、作戦の独断実行は「唯一指導体系」違反になる。北朝鮮では、これはもっとも重大な「政治犯罪」であり、「革命化」の対象となるのである。

現状で、独断で作戦を実行しても「唯一指導体系」違反に問われないのは、金総書記の三男とされる金正恩氏だけである。それは、金正恩氏が次代の「唯一の指導者」に内定しているからだ。
延平島攻撃が、もし金総書記の裁可を受けていなかったとしたら、それを実行することできる唯一人の人物は、金正恩氏ということになる。
(石丸次郎)

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