2009年11月30日に突如行われた「貨幣交換(デノミ措置、通貨ウォンを100分の1に切り下げ)」は、庶民の経済活動に大きな打撃を与えた。少なくない人々が、食糧を買うために家を売り払い、コチェビと呼ばれるホームレス生活に転落したと金東哲記者は語る。写真は昨年6月に撮影された23歳のコチェビ女性。貨幣交換で両親を亡くし、畑の雑草を飼料として売ることで生命をつないでいたが、同10月、死亡したことが明らかになった。撮影 金東哲(キム・ドンチョル)
2009年11月30日に突如行われた「貨幣交換(デノミ措置、通貨ウォンを100分の1に切り下げ)」は、庶民の経済活動に大きな打撃を与えた。少なくない人々が、食糧を買うために家を売り払い、コチェビと呼ばれるホームレス生活に転落したと金東哲記者は語る。写真は昨年6月に撮影された23歳のコチェビ女性。貨幣交換で両親を亡くし、畑の雑草を飼料として売ることで生命をつないでいたが、同10月、死亡したことが明らかになった。撮影 金東哲(キム・ドンチョル)

北朝鮮内部で取材活動を続ける金東哲(キム・ドンチョル)氏が、6月に平安南道で撮影した、いわゆるコチェビ(ホームレス)の23歳女性が、死亡していたことがわかった。

金記者は、撮影のため平安南道に出張した際、ひどく痩せて黒く煤けた姿で郊外を放浪する若い女性に遭遇。話をしながらビデオで彼女の姿を記録した。
23歳だという女性は、「今年に入って両親が死亡、家も失って放浪生活をしている」と身の上を金記者に語った。金記者が名前を尋ねたものの、返事は弱々しく聞き取ることはできなかった。

金記者が撮影した映像は、8月にテレビ朝日で放映されたのをはじめ、韓国KBSテレビのニュースとスペシャル番組、ドイツ放送、BBCなどでも放映され関心を集めた。特に韓国では、コチェビとなり、がりがりに痩せて放浪生活をしている若い女性の姿が社会に衝撃を与え、放送した韓国KBSテレビのウェブ掲示板には多くの感想が寄せられたという。

撮影した金記者は先月、アジアプレスに
「23歳のコチェビ女性は10月20日頃に死亡したことがわかった」
と連絡してきた。金記者によると死亡の経緯は次の通りだ。

「彼女は家もなく市場や路上で物乞い生活をしていたが、トウモロコシ畑の中で死んでいるのが発見された。当時はトウモロコシの収穫の時期なので、畑に入ってトウモロコシを食べようとしたと思われる。『若い女性のコチェビが畑で死んでいる』と噂になり、知人が見に行ったところ彼女だった。死んで何日も経っていたようで、遺体は傷み始めていたという。保安所(警察)も放置したまま長いあいだ片付けなかった」

昨年11月に実施されたデノミ措置(通貨ウォンを100分の1に切り下げ)による経済混乱のため、北朝鮮ではコチェビが全国で急増、餓死者も一部地域で発生していた。亡くなったコチェビ女性のような家庭では、デノミ措置の混乱の中で商売行為が滞り家計が破綻、家を売って路上生活を余儀なくされていた。彼女は無理なデノミ措置の犠牲者だと言える。(石丸次郎)

[アジアプレス 北朝鮮内部取材1]飢える23歳の女性ホームレス...

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