今年の「新年共同社説」の内容は空っぽ
先日1月8日は、金正恩の誕生日だった。北朝鮮内部の取材パートーナーたちからの電話連絡によると、人民班や職場で誕生祝の行事は行われなかったという。

また、北朝鮮の2011年カレンダーでも1月8日は祝日になっていない。
党や軍の核心幹部たちは、別途誕生祝い行事を行っただろうが、ひとまず今年は、4.15(金日成の誕生日)、2.16(金正日の誕生日)のように、公式の「民族の祝日」とするのは時期尚早と判断したものと思われる。

それもまあ、当然といえば当然。今、全国で金正恩の偶像化、神格化作業が進められており、かつメディアへの登場も増えているものの、北朝鮮の民衆は、まだ金正恩が何者なのかよくわかっていないのである。
労働党代表者会で公式デビューして、国民の前にその姿を現したのは、わずか三か月余り前のことだ。その誕生日を祝えと言われても白けるだけだろうし、むしろ生活苦が続く中では反発が生じかねない。

偶像化作業といえば、次のような話を北朝鮮北部に住む通信員のイム・チョミさんが昨年末に伝えてきている。
「正恩がどれだけ優秀で、卓越した先見性を持っているか、人民班に講師が来て学習させられるんです。11月終わりにあった学習会で講師が『正恩同志は3歳の時に車の運転を覚え、5歳の時には一人で清津市まで運転した』と言うんです。部屋の後ろの方で『3歳の子供がどうやってクラッチに足が届くんだ』とつぶやくと、失笑が広がりました」
北朝鮮の権力者たちは、どうすれば金正恩にプラスイメージだけを付与できるか、苦心していることだと思う。

存在のアピールを急ぎすぎると、蔓延している幹部たちの不正腐敗や民衆の生活苦など、様々な社会矛盾が、金正恩のせいによるものという雰囲気が醸成されてしまうかもしれない。

そんなこともあってのことだろう、今回の誕生日にあたっては、大盤振る舞いをするようである。
「誕生日に合わせて5日ごろから住民に贈り物として豚肉、酒、飴、菓子などが特別配給されている」
と、北部に住む取材協力者の女性は電話で伝えてきた。
北朝鮮内部と連絡ラインを持つ韓国の団体も特別配給について同様の報道をしているので、「贈り物」で歓心を買おうという試みは全国で行われているようである。
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