第4回 市場では労働力も売っている
平壌取材の第4回目。公設市場である船橋(ソンギョ)市場では、庶民がさまざまな物を持ち込んで売っている。映像によく目を凝らすと、市場の一角でボードをもって立っている女性がいる。そう、彼女が売っているのは、彼女自身の労働力である。社会主義を標榜する北朝鮮で、現金を得るために、庶民が自らの意思で職を求めて行動を始めている様子が捉えられていたのだった。
(取材・撮影:リ・ジュン 2007年8月 平壌 船橋市場 01分22秒 )

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金正日政権は「首都平壌は発展する革命の首都」という虚構を作るために、外国から訪問者には、常に見栄えの良いところだけを見せてきた。
リ・ジュンら北朝鮮内部の取材チームは平壌に潜入、知られざる北朝鮮の首都の姿を撮影するのに成功した。300万とも言われる人が暮らす平壌、その裏通りには、商売に励みたくましく生きる民衆の姿があった。

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動画 (01分22秒)  (C)ASIAPRESS

20110204_APN_pyongyang001金正日政権は「首都平壌は発展する革命の首都」という虚構を作るために、外国から訪問者には、常に見栄えの良いところだけを見せてきた。

リ・ジュンら北朝鮮内部の取材チームは平壌に潜入、知られざる北朝鮮の首都の姿を撮影するのに成功した。300万とも言われる人が暮らす平壌、その裏通りには、商売に励みたくましく生きる民衆の姿があった。

 

20110204_APN_pyongyang002市場で物を売っている女性たちは単純な販売員ではなく、一人ひとりがスペースを借りて商売している「店主」である。社会主義を標榜する北朝鮮の首都・平壌で、市場経済の営業様式が増殖していることが映像から読み取れる。

・「食卓塗装」と書いたボードを持つ女性。いわば、市場で「労働力」を売っていることになる。

・「トゥブバブ」。日本語に直訳すると、豆腐ご飯。日本からの帰国者が持ち込んだ「いなりずし」。

※ 凄まじい市場の拡大・増殖

北朝鮮では2003年4月に、それまで非合法だった市場が合法化された。平壌をはじめ主要都市では、それまで闇市場扱いであったジャンマダンと呼ば れる市場を、当局が管理する「総合市場」に改変した。「総合市場」はいわば公設市場。平壌では、見栄えにも神経を使って立派な建物を建てて区域ごとに開設 した。

国営公設市場である船橋(ソンギョ)市場。船橋区域は平壌市中心部を流れる大同江の東側に位置する。党や政府機関の幹部など、比較的裕福な層が暮らす地域のひとつである。市場に集う人々の服装もよい。

平壌・船橋(ソンギョ)区域

平壌・船橋(ソンギョ)区域

 

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