今年2月16日の金正日総書記の誕生日に配られた子供向け特別配給。菓子袋には「世に羨むものなし」と書かれ、平壌市にある「学生少年宮殿」の絵が描かれている。2011年2月 撮影 崔敬玉 (アジアプレス)

今年2月16日の金正日総書記の誕生日に配られた子供向け特別配給。菓子袋には「世に羨むものなし」と書かれ、平壌市にある「学生少年宮殿」の絵が描かれている。2011年2月 撮影 崔敬玉 (アジアプレス)

 

◇特別配給は子供向け菓子のみ 地方では行事も白け気味
金正日政権は、4月15日の故金日成主席の誕生日を民族最大の祝日と喧伝して「太陽節」と名付け、毎年盛大に祝ってきた。
来年の生誕100周年を機に「強盛大国の大門を開く」と内外に宣言していることもあって、国営メディアは今年の「太陽説」を例年以上に盛り上げようと「金日成同志は永遠にわれわれと共にいらっしゃる」という宣伝を繰り広げてきた。

首都平壌では、数日前から大勢の外国人を招いて故金主席の生家を訪問させたり、花の展示会を催したりするなどの祝賀行事が続き、14日には平壌で花火大会も行われた。

2月16日に配られた菓子袋の中に入っていた「豆キャンデー」。大豆を砂糖で包んだもののようだ。2011年2月 撮影 崔敬玉 (アジアプレス)

2月16日に配られた菓子袋の中に入っていた「豆キャンデー」。大豆を砂糖で包んだもののようだ。2011年2月 撮影 崔敬玉 (アジアプレス)

 

しかし、地方都市では関連行事は極めて低調だったことを、北朝鮮内部の取材パートナーたちが伝えてきている。
平安北道に住む金東哲(キム・ドンチョル)記者は16日の電話で次のように語った。
「特別な行事は何もなかった。労働者が腹を空かせて働けない有様だからだと思う。毎年ある『祝日特別配給』は、以前は世帯ごとにコメや酒や豚肉が配られたが、今年は子供のいる家に菓子が出たのがすべて」。

北部の咸鏡北道茂山(ムサン)郡の協力者の鄭玉(チョン・オク)氏は「女性同盟や職業同盟などの社会団体ごとに『忠誠の決起大会』を行った。来年の 生誕100周年に向けて必死で頑張れという集まり。15日の晩には駅前で舞踏会があったが用事があって私は行かなかった。子供たちに菓子が配られた以外、 何ももらえなかった」
と16日に電話で述べた。
両江道の崔敬玉(チェ・ギョンオク)氏も17日の電話連絡で、「祝日特別配給」は子供に菓子が出ただけと語っている。

北朝鮮最大の祝日である「太陽節」の特別配給に菓子だけしか出せなかったのは、初めてのことだと思われる。北朝鮮経済が極めて深刻な状況にあることは間違いないだろう。

「今年は特別配給に誰も期待していなかった。暮らしがあまりに厳しいから、人びとは金日成の誕生日に関心なんてない」
キム記者は述べた。

アジアプレスでは、中国の携帯電話を北朝鮮国内に送って定期的に連絡を取りながら取材活動を行っている。
【石丸次郎】