リヤカーは大切な生産手段。荷物運びに精を出す女性の姿は珍しくない。(2010年6月平城市 キム・ドンチョル撮影)

「市場で靴を販売しているが、元手を引いて一日平均でトウモロコシ一キロ分(約五〇〇ウォン)程度稼いでいる。たくさん売れる日もあればまったく売れない日もある。トウモロコシが一キロ八〇〇ウォンぐらいに上がったら大変だ」。
(一一年二月、咸鏡北道茂山[ムサン]郡の五〇代女性に電話で聞いた。一〇〇ウォンは約三円)

次の事例は、両江道に住む取材協力者のチェ・ギョンオク氏に依頼して、普通の庶民が市場でどれぐらいの収入を得ているかを調べてもらったものだ。調査は一一年三月後半に行われた。この時一〇〇ウォンは約三円で、コメは一キロ約一六〇〇ウォン、トウモロコシは八〇〇ウォンだった。

「クヮベギ(小麦粉で作った揚げパン)とカンジョン(菓子の「おこし」)を一つ八〇ウォンで卸売り業者から仕入れ一〇〇ウォンで売る。一つ売れば二〇ウォンの儲けになるが、二〇〇〇ウォンを稼ぐためには一〇〇個を売らなければならない。毎日一〇〇個売るのは困難。駅前や、バスの停留所など色々な場所を回りながら一生懸命売っても、六〇個売れれば上出来だ。稼いだ一二〇〇ウォンでコメ七五〇グラムを買い、それを家族三人で分けて食べている」。

「徹夜して作った『人造肉ご飯』(注1)を市場に一日中座って売って、一日に稼げるのは二五〇〇ウォンがやっと。それで家族五人がぎりぎりその日暮らししている」。

「一日に三二個の豆腐を作るが、売れるのは平均して二五個ぐらい。売り上げは二四〇〇ウォンほどだが、そこから大豆を挽くためのお金、燃料の薪代を引いたら一一〇〇ウォン程が残る。残った豆腐は売り物にならないため家族で消費する」。
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