【国際赤十字委員会が支援した仮設住宅で暮らす罹災した家族。8月2日に国際赤十字委員会が発表した報告書から引用。(写真:朝鮮赤十字社)】

【国際赤十字委員会が支援した仮設住宅で暮らす罹災した家族。8月2日に国際赤十字委員会が発表した報告書から引用。(写真:朝鮮赤十字社)】

 

◇ 内部から報告 政府は住民に支援を呼びかけ
今年6月、7月にかけて記録的な豪雨に見舞われた南部地域の被害規模が伝わるにつれ、北朝鮮住民の間で、今後の生活に対する不安が広がっていると、北朝鮮国内のアジアプレスの取材協力者が電話で伝えてきた。北朝鮮政府は住民に衣類や食糧の支援を呼びかけているという。

情報を伝えて来たのは、北部の両江道恵山(ヘサン市に住む崔敬玉(チェ・ギョンオク氏。崔氏によると4日午前、恵山市内の公的機関、企業所では職員が集められ会議が開かれた。

「会議の席で担当労働党書記(下級幹部)は『最近の豪雨により、(南部の)黄海南道と黄海北道の多くの農耕地と住宅が浸水した。これを支援するために、職員はそれぞれ古着一着、トウモロコシ米や大豆などの食糧を納めるように』と指示した」
と崔氏は述べる。

また崔氏の取材によると、住民に対し同様の内容を伝える集会が平安南道でも行われた。順川(スンチョン)市では住民組織である人民班の会議で、「1時間に700ミリという前例の無い猛烈な雨が黄海道に降った。水害地域に対する支援をしよう」と当局が呼び掛けたとのことだ。
水害地域以外に住む人々は、北朝鮮国内のニュースに加え、こうした当局からの説明と指示を聞いて
「今年の収穫はもうだめだ」

「コメの価格がまた上がるだろう」
と落胆を隠せない様子だと崔氏は伝える。
黄海道一帯は北朝鮮随一の穀倉地帯だ。
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