◇内部記者がスクープ撮影...軍でも餓死者発生の模様

北朝鮮の中部、平安南道で、がりがりに痩せた兵士の一団が撮影された。ひどい栄養失調状態にあるのは明らかだ。ここまで衰弱した兵士の集団がカメラ に捉えられたのは世界で初めてのことである。北朝鮮国内で取材を続けるジャーナリスト、具光鎬(ク・グァンホ)氏によるスクープだ。ク氏は北朝鮮内部情報 誌「リムジンガン」の記者だ。

撮影は今年(2011年)7月のこと。映像を見ると、市場にほど近い広場に、十数人の兵士が座り込んでいる。 彼らは一様に痩せ、服の上からでも手足や腰周りがずいぶんと細いのが分かるほどだ。目と頬はくぼみ、幾人かは目の焦点も合わず虚脱してしまっている様子が ありありとうかがえる。30分あまりの映像の中で、下を向いたまま全く動けない兵士もいたほどだ。

頬はこけ、目はくぼんだ虚ろな表情の兵士。立ち上がることもままならない様子でじっと座っていた。(C)アジアプレス

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撮影者のク記者は、秘密裏に中国に出て来て、撮影されたテープを筆者に渡す際、取材当時の状況をこう振り返ってくれた。
「北朝鮮に住んでいる私も、一度にこんなに多くの栄養失調にかかった兵士を見るのは初めて。周囲の住民たちはみな口々に『ぞっとする』『見たくない姿だ』と言い合っていました」

十数人の一団を率いる将校は、ク記者が部隊の構成や行き先について尋ねても固く口を閉ざしていたが、別の住民が聞き出したところによると、兵士たちは工兵部隊で、栄養失調になったために、治療のために部隊から移送する途中だったという。工兵は国家の重要インフラや施設の建設に投入される部隊で、119万人といわれる朝鮮人民軍の約半数ほどを占めるといわれている。再びク記者。

「衰弱した兵士たちの一団は、私には20代前半のように見えましたが、引率の将校は『若いのもいれば年がいったのもいる』と答えました」
具氏は30分あまり現場で撮影を続けたが、映像の中には将校が、憲兵(一般軍部隊を監督する将兵)に見つからないよう隠れているよう、兵士たちに注意を促している場面も記録されていた。栄養状態が悪くがりがりに痩せ細った兵士たちの姿を、一般住民の目に触れさせないよう、上部から命令されているためだと思われる。

ク記者はさらにこう付け加えた。
「彼らもこのままでは長く持たないでしょう。若い兵士の中には栄養失調で死ぬ者が少なくないんです。兵役中の息子が死んだ場合、『病気で死んだ』と、両親に軍から通知が来ます。そこで両親が部隊に駆け付けて遺体を見るんですが、他でもない、栄養失調で死んだことくらいすぐ分かるんです。こういった話はすぐに広がるので、人民軍の栄養状態が悪いことは皆知っていますよ」
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