「従北」の克服が韓国進歩派の課題
「旺載山(ワンジェサン)」事件の衝撃
韓国の左派系の最大政党・民主労働党(民労党)が、この夏「従北」との厳しい批判を受けていた。
「従北」とは日本であまり聞かれない言葉であるが、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対してシンパシーを寄せる「親北」どころでなく、北朝鮮の言いなりだという意味だ。
民労党内で、反主流派が主流派指導部の北朝鮮べったりぶりを侮蔑的に批判する言葉として使い始めた。

9月4日民労党との統合に反対する進歩新党の若手党員たちが、党大会で示威を行った。「従北」清算を求める学生党員(デイリーNK提供)

 

去る8月、韓国検察は北朝鮮の指令を受けたスパイ・工作組織を摘発した。「旺載山(ワンジェサン)」事件と呼ばれる。
北朝鮮の指令を受けて、20年にわたって政党や労組、市民団体に浸透して工作活動や情報収集していたとして5人が起訴、現時点でもまだ数十人が捜査中である。

この「旺載山」事件の捜査対象には、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時の国会議長の秘書官の他、民労党所属の現職の地方自治体首長や地方議員ら、幹部多数が含まれていた。政界深くに北朝鮮の手が及んでいることに韓国社会は衝撃を受けた。
(※民労党は政権による公安弾圧だとして反発している)

「北のいいなり」に民労党内で反発
民労党は金大中政権下の2000年に創建され、04年の総選挙では
「貧乏人には福祉を 金持ちには税金を、財閥解体」
という主張が人気を博し、10議席を獲得して第三党に躍進した。

しかし、李明博氏が当選した07年の大統領選では、500万票獲得を目指したが70万票しか取れず惨敗。
党内反主流派はその原因は「従北」主義によって国民の信頼を失ったからだと総括した。
「従北」の例は次のようなものだった。

①北朝鮮の核保有を米帝国主義からの自衛のためだと擁護した。
②06年に公安当局に摘発されたスパイ事件で、北の指令を受けて活動していたとして党中央委員と事務副総長ら幹部が検挙、有罪になった。
③党幹部が平壌を訪問して、金日成の生家を訪ね、北の主張に沿う反米声明を出した、などである。

民労党は党内に非常対策委員会を発足させ、金正日政権に対して
「韓国の進歩政党運動に介入する行為を即刻中止せよ」
と、異例の声明を出した。

だが、「北朝鮮との決別」を目指して08年2月に開かれた党大会で、反「従北」は受け入れられず民労党は分裂。
反主流派は新たに進歩新党を結成した。あまりに酷い民労党の「従北」ぶりに、脱党と支持母体の労組の離脱が相次ぎ、民労党は08年4月の総選挙では議席を半減させてしまった。
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