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大阪府知事の任期途中で大阪市長選に鞍替え出馬し、初当選した橋下徹氏。
選挙戦では「大阪都構想」ばかりが注目を集めたが、橋下氏が知事としての3年9カ月で何を行ったのか。メディアはきちんと検証したのか。
ダブル選の直前、大阪府関係職員労働組合の橋口紀塩委員長らに話を聞いた。
矢野宏(新聞うずみ火)
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大阪市は生まれ変わるのか
~橋下府政で増えた借金、自殺者

「2万%出馬はない」という前言を覆して府知事選に出馬した橋下氏は、183万票を獲得して初当選した。

街頭演説する橋下氏ら

 

2008年2月の初登庁では、府職員を前にして「みなさんは破産会社の従業員だ」と言い放った。
さらに「大阪府民を笑顔にする」と公言したにもかかわらず、府民の意見にも耳を傾けることなく補助金削減や施設の民営化・売却などを押し進めていった。

公立学校の非常勤教職員350人のクビ切りもその一つ。
その年の6月、橋下知事と向かい合った団体交渉の場で、大阪府職労の幹部たちは非常勤教職員の年間予算が御堂筋イルミネーションにかかる予算(4億円)でまかなえることを指摘したうえで、「非常勤教職員と御堂筋のイルミネーション、どちらが大事か」と迫った。

橋下氏は即座にこう答えたという。
「私の政治判断ではイルミネーションです」。
橋下氏が夜を徹して組合側と対峙したというニュースが流れると、府民の批判は大阪府職労にも向けられた。
「朝から抗議の電話が鳴りっぱなしでした」と橋口委員長は当時をそう振り返る。「お前らは破産会社の社員や。ボランティアで働け」とまで言われたという。

橋下氏は次々に敵を生み出して攻撃し、世論を味方につけて対立を煽る。相手が誰であろうが容赦しない。
08年10月、私学助成の削減を打ち出した橋下知事に自分たちの思いを伝えるため、府内の高校生が面談したときのこと。
「家庭環境やいじめで、私立高校へ行かざるを得ない状況がある」と伝えると、橋下氏は「努力しないから悪い。自己責任だ」と反論した。

高校生が「自己責任が原則というのはおかしい」と訴えると、こう言い放った。
「自己責任はこの国の原則。嫌ならこの国を変えるか、この国から出て行くしかない」
その場にいた女子生徒の一人が泣き出したという。

さらに、橋口委員長は「橋下府政で府職員の自殺が増えた」と指摘する。
「橋下氏が知事になる前は年間の自殺者は1人か、2人だったのですが、10年度に7人、11年度はすでに3人も出ています」
人員削減や長時間過密労働、見せしめ人事などもあるという。
昨年、商工労働部の50歳代の参事が淀川で自殺した。橋下知事が台湾へ行った際、現地の要人との会談の段取りが悪いと、帰国後も、上司である商工労働部長を叱責している。

橋口委員長は「間接的なパワハラだった」と指摘する。
このほか、橋下氏が切り捨てた施策として、
「子育て支援事業」(24億円)
「高齢者の生きがい・地域生活支援」(17億円)
「障がい者支援事業」(3億円)
「千里救命救急センター事業への補助金廃止」(3億5000万円)
「中小企業向け融資制度」のほかに、施設としては、国際児童文学館の閉館、青少年会館の廃館、13万戸ある府営住宅も老朽化を理由に半減しようと計画している。
一方で、大企業支援や大型開発の推進が目につく。
大阪府職労によると、シャープ誘致補助金(300億円)
地下鉄なにわ筋線(新大阪―汐見橋・4000億円)
JRゆめ咲線延伸(桜島―海底トンネル―コスモスクエア・1000億円)
WTC購入費(85億円)など。
橋下氏が知事に就任した3年前に5兆円だった大阪府の借金は、6兆円にまで膨れ上がっていた。
できもしない「大阪都構想」という大風呂敷を広げて市民の目をそらし、「教育基本条例案」「職員基本条例案」を成立させて「橋下独裁」を確立する腹積もりだろう。
大阪市職員の自殺者が増えないことを祈るのみだ。
「新聞うずみ火」:http://uzumibi.com/

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