石丸:作業班ごとに計画があるんですか? それとも炭鉱全体で?
キム:中隊、小隊、分隊別です。ところが、計画を達成するのは容易じゃありません。

石丸:労働意欲はどうですか? ノルマを達成すれば収入も増えれるわけですよね。
キム:意欲? ありませんよ、そんなの。ただ出勤して、ダラダラと仕方なく働いていますよ。仕事をしてもしなくても待遇はそんなに変わらないから。
※ノルマを超過するともらえる八〇〇〇ウォンでは、市場で白米四キロ程度しか買えないため、魅力は薄いと思われる。

石丸:でも食糧配給は、他の工場などでほとんど支給されていない中でももらえますよね。
キム:配給は出ますが一〇〇%はまずもらえない。最近は本人分が三〇〜五〇%もらえるぐらいで家族分は出ていません。 全然足りません。だから妻が商売をするんです。男は仕事に出なければならない(炭鉱は出勤管理が厳しく無断欠勤は処罰の対象)。

炭鉱は誰も行きたがらない職場なんです。だから(人員の確保を)どうするかといえば、将軍様の〈方針〉だとして、除隊軍人を強制的に配置するんです。行く人がいないから。それは昔からですよ。軍人を組織的に除隊させて集団配置して、炭鉱地区に全員住まわせます。住宅もあてがって嫁さんも探してやる。 「文件」(身上書類のこと。北朝鮮では必ず決まった職場や組織に籍を置かなければならない)を作成して炭鉱に送り出しますからどうしようもない。

石丸:炭鉱は嫌だ、故郷や他の所に行きたいと言えば、どうなりますか?
キム:それはできません。〈方針〉で送り出すので、嫌だと言って何とかなることではないんです。(朝鮮では)「文件」がないとどこに行っても仕事に就けないし、住宅にも入れません。
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