栄養失調になり列車で実家に戻されるところだという兵士。「部隊には塩もない」と語った。(2005年5月 リ・ジュン撮影)
栄養失調になり列車で実家に戻されるところだという兵士。「部隊には塩もない」と語った。(2005年5月 リ・ジュン撮影)

 

2 餓死者が出る軍隊
取材:ク・グァンホ/キム・ドンチョル
栄養失調に苦しむ兵士たちは、言うまでもなく民衆の息子、娘たちである。痩せ衰えた姿を見て、親たちは泣き、庶民は同情する。内部記者たちも悲しい光景をたくさん見てきている。二人の記者に語ってもらった。

◆ 親たちは泣いている  ク・グァンホ
私の住む平壌市×× 区域では軍隊が街を歩く姿は珍しくない。そしてそのほとんどが痩せ細っている。だが今年(一一年)ほど軍人が弱っている姿が多い年はなかったと思う。首は鴨の首みたいに細い。痩せていない軍人の方が少ないほどだ。まともなのは軍官たちぐらいだ。

軍隊に行って一〜三年ぐらいの若い兵隊の有様は酷いもんだ。一般住民たちは「食べさせることもできず栄養失調になるのがわかっていながら、なぜ軍隊に連れていくのか」と言い合っている。

今、地域的には、江原道に配置された部隊がもっとも大変だと言われている。私の町内に息子が江原道に配置された家があった。軍隊に行って三〜四年になるが、栄養失調になって家に戻されて来た。その家の息子が言うには「(軍隊では)ジャガイモだけをどんぶりに入れて出されるのだが、そのジャガイモがあんまりにも小さい。

数えてみると五二粒だった」という。豆のようだと言うのだ。軍に食べ物がない話を口外してはならないと言われるそうだが、近しい人には話すに決まっている。

近くのアパートに住み自転車の付属品を売っている女性の息子も栄養失調で戻されてきたのだが、「息子が立つこともできない。体が回復したとしても、もう軍隊にはやらない。息子は殺される」とその女性は嘆いていた。自分の子が可愛くない親がいるだろうか。国を守れといって軍隊に連れて行ったのに、栄養失調になって家に戻されてくる。

親たちは、こんなにするなら大切に育てた息子を軍隊にやらないと考える。入隊したら一年や二年でほとんどが栄養失調にかかる。酷い場合は数ヶ月で栄養失調だ。

軍隊に行って飢えて死んだという話は山ほどある。兵士が死んだら、両親に部隊から通知が来る。両親が駆け付けると「下痢をして死んだ」と説明を受けるのだというが、親も馬鹿ではないから、遺体を見れば飢えて死んだことくらいすぐ分かる。こういった話はすぐに広まるので、息子の入隊が決まると親たちはかわいそうで泣く。

「戦争が起きた時に戦う軍隊はどこか別にある」と住民たちは皮肉まじりに言い合っている。どこに隠しているのだろうか。
※部隊から家に帰されるのは「病保釈」と言われ、そのまま部隊においておくと死ぬかもしれないと判断される場合だという。

この最悪の状態は「虚弱三度」と呼ばれている。少しましな「虚弱一〜二度」で家に帰す交換条件として、部隊は親に食糧数百キロを要求している、という内部からの報告もある。
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