平壌市街図(地図をクリックすると拡大します)
平壌市街図(地図をクリックすると拡大します)

 

※訂正します。
みすぼらしい身なりや大荷物の人を地下鉄に乗せないため、駅の入り口で検問を担当する兵士を、「警務兵」(憲兵のこと)と記述していましたが、これは間違いでした。正しくは「地下鉄運営管理局所属の兵士」です。お詫びして訂正します。(2016年8月17日)

 

3−II 「美しき平壌」のからくりを撮った[1]

取材:ク・グァンホ 整理・解説:石丸次郎
※この項の写真は二〇一一年六〜七月に平壌市で撮影された。

これまで何度も伝えてきたとおり、「革命の首都・平壌」は、外部からの訪問者の行動範囲を徹底して制限し、見栄えの良くないものが訪問者の目に触れないような仕組みを作ってきた。平壌を取材するメディアの映像には、みすぼらしい格好の人も、大荷物を抱えて商売に励む女性の姿も映ることはない。平壌には特権階層だけが住むわけではない。他都市に比べ特別待遇があるとはいえ、二〇〇万を超える人口の大部分は、その日その日をなんとか暮らしている庶民たちである。
金正日政権は、この普通の庶民の姿を、平壌訪問者の目からどのようにして匿しているのだろうか。その仕組みの一端をク・グァンホ記者が撮影してきた。

平壌市郊外の地下鉄楽園駅の入口。付近は公園や動物園などの遊覧地区になっている。軍人用のアパートがあり将校クラスが数多く住んでいる。また、平壌市の外郭地区に向かうバスがここから発着する。


1 地下鉄駅の入場規制

六月、平壌市郊外の大城(デソン)区域。ク・グァンホ記者は地下鉄革新(ヒョクシン)線の終点の楽園(ラグォン)駅で、軍人が地下鉄駅への入場規制を行っているところに出くわした。服装や荷物をチェックし、見てくれの悪い人を市中心部に向かわせないための検問だ。よくあることだとして、ク・グァンホ記者は次のように言う。
「まず背嚢を背負っていると絶対だめ。服装がみすぼらしい人も止められる。コチェビ(ホームレス)ももちろんアウト。仮にうまくすり抜けても、中心部の駅でも検問していて留め置かれる」。
この「身なり検問」は毎日やっているわけではなく、外国人が団体で平壌を訪れるような時(それ自体を行事と呼ぶようだ)に行うのだという。

二人の兵士が駅入り口に陣取り、構内への入場制限を始めた。兵士は下鉄運営管理局所属の兵士「行事があるから検問やっているんだ」と威圧する。
背嚢を背負ったまま駅構内に入った女性が引きずり出された。
この老人は服装がみすぼらしいとして入場を阻止されてしまった。
「出て行きなさい。入れません」と、慇懃だが断固とした口調で、小さな背嚢を持った男性を駅構内に入れようとしない。

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