オスプレイ配備を巡り沖縄で反対の声が高まる中、沖縄本島北部の東村高江で、オスプレイを想定した着陸帯(ヘリパッド)の建設工事が強行されている。
那覇から車で約3時間。高江は人口約160人の小さな集落だ。天然記念物のヤンバルクイナやノグチゲラが生息する豊かな自然。一方で、米軍北部訓練場と隣合わせにあり、ジャングルでのゲリラ戦を想定した訓練やヘリの飛行訓練が行われている。

「本当にすばらしいところなのです。でもその自然の中に人殺しの訓練をするところがあるなんて胸が痛い。いまもパイロットの顔が見えるくらいヘリは低空で訓練をしていて、すごい音です。それがもっと近くに6カ所、しかもオスプレイ。想像しただけで恐ろしい。絶対作らせたくない」と住民の安次嶺雪音さん。
ヘリパッドは高江の集落を取り囲むように6カ所建設されようとしている。2007年夏、防衛局は突然工事に着手、安次嶺さんら反対住民は以来5年間、工事車両の出入り口前で24時間の座り込みを続けてきた。

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安次嶺さんらが座り込みを行うヘリパッド建設用地。車両出入り口にはパイプのバリケードが築かれている=8月4日

そもそもは96年の日米特別行動委員会(SACO)合意が発端。北部訓練場の半分を返還するという「負担軽減」策の引き換えがヘリパッド新設だった。住民たちは当初から、オスプレイを想定した計画であり、基地機能の強化であると抗議してきたが、国は一貫してシラを切り続けてきた。

「本当におかしな国だと思います。07年に生まれた息子は5歳になりました。彼が何歳になるまで座り続けなければならないのか」。安次嶺さんはため息をつく。
1年のうち3月から6月まではノグチゲラの産卵期間という理由で工事は止まる。しかし今年も7月に入った途端、平穏は破られた。10日、突然夕闇に乗じ、約50人の作業員が押しかけ重機を運び入れたのだ。以来、断続的に工事は強行され、座り込む住民を警官隊が排除するなど、緊迫した状況が続いている。

「何が何でもという姿勢が見えますよね。日本政府には本当に腹が立ちます。67年も経つのにアメリカにモノも言えない。これで独立国家なのか」と住民の会共同代表の伊佐真次さん。国は「座り込みで工事を妨害している」として伊佐さんを裁判にまで訴えている。

島ぐるみで反対の声が高まる中、小さな集落でオスプレイ配備の地ならしが進む。ヘリパッドNOの声はなかなか届かない。知事や村長は配備に反対する一方で、ヘリパッド建設は容認している。北部訓練場の一部返還が「基地の整理縮小」にあたるからだという。当然、住民とは相容れない。
「僕たちは静かな村、自然を守りたいだけなのです」。伊佐さんは住民たちの願いをそう代弁した。
(栗原佳子/新聞うずみ火)