朝鮮人と日本人のわだかまりは、双方が先に思いやる言葉を発することで和らぐはずだ、とヤン監督。対談第12弾。 (聞き手 石丸次郎/アジアプレス)

ヤン・ヨンヒ監督と石丸次郎 (撮影ナム・ジョンハク/アジアプレス)

ヤン・ヨンヒ監督と石丸次郎 (撮影ナム・ジョンハク/アジアプレス)

 

◆「互いに責めてるだけだと解決しない」
ヤン:私が北朝鮮や総連の問題点や足りない点を率直に話すと、なかなか日本人の側から言えなくなりますよね。「そう言うても、お兄さんもお辛いわな」て、こうなるじゃないですか。

石丸:家族が大変な目に遭ってる在日のしんどい人からの言葉が先にあると、日本人も「北朝鮮叩き」を遠慮すると?
ヤン:私、拉致問題についてこう思うんです。(日本人が)「拉致したお前らが悪い、お前らが悪い」って言うと、(朝鮮人が)「お前らも昔、朝鮮人いっぱい殺したやないか」と言い返す。すると「何言うてんねん、そら昔の話。この80年代に拉致するとは何のことや」と応酬する。こんな風にお互いを責めてるだけだと絶対解決しないと思う。これがね、(朝鮮人の側が)「いやあ昔ね、うちらもひどい目に遭ったけど、拉致はほんとに恥ずかしい。昔のことは昔のことであるけど、あれはもう、即刻返さなあかん」、それで日本人も「いやいやいや、拉致もほんとに腹立つけど、うちのおじいちゃん、おばあちゃん(の世代)が、ほんとにひどいことしました」と言って、両方が自分たちのやったことについて語れたら、こじれた感情もすぐ解決ですよ。そう思いませんか?

石丸:なかなか簡単やないですよ。
ヤン:講演会でいつも言うんですよ、(在日も)みんな飲み屋でだけ本音言ってるって。うちのオモニ(=お母さん)に対して、「お宅の娘はねえ、いらんことばっかり言ってる。ふたしてある話をほじくってなんやねん」て言うけれど、その人も飲み屋行ったら、ほんと拉致は困ったなあって言ってるんですよね。もうこれ是非書いていただきたい。
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