◆オスプレイ 沖縄に強行配備
米海兵隊の新型輸送機オスプレイが10月1日、米軍普天間基地に強行配備された。すでに本格運用が始まり、日米で合意した運用ルールを無視して住宅密集地の上を低空で飛び回っている。県民の抗議の声が高まる中で米海軍兵による集団強姦致傷事件も発生した。犠牲を強いられる沖縄の怒りにあらためて耳を傾けた。(矢野 宏、栗原佳子)

強行配備前夜の9月30日夜、米軍普天間基地野嵩ゲート前。座り込む
人々を警官隊がゴボウ抜きにしていった=宮里さん提供

 

宮里洋子さん(72)は毎朝、那覇市の自宅から宜野湾市の普天間基地のゲート前へ通う。抗議の意を込めた座り込みだ。『イマジン』『ウィ・シャル・オーバーカム』――。フェンスの向こうの米兵に聞かせたいと、英語の反戦歌を仕込んだラジカセを持参する。

基地問題に関する県民大会としては復帰後最大の10万1000人が参加した9月9日の県民大会。県内41全市町村議会の反対決議。島ぐるみのノーも全く顧みられることなく、配備は強行された。  「もう怒りを通り越してむなしいですよ」と宮里さん。

それでも気力を振り絞る。「黙っていたら現実を受け入れることになる。オスプレイが墜落したら人が死ぬ。私たちの子や孫に犠牲者が出ないとも限らないでしょう」
配備強行を目前に、抗議の市民数百人が普天間基地の主要なゲート前に座り込み、3日間完全に封鎖。非暴力による直接行動で島ぐるみの怒りを体現した。

強行配備が迫る中、普天間基地大山ゲートで座り込む市民(手前が宮里洋子さん)=宮里さん提供

 

◆座り込みに高齢者

ゲート封鎖を、という市民団体の呼び掛けはツイッターやフェイスブックで広がり、運動とは無縁の市民も座り込みに加わった。特に白髪頭が目立った。逮捕されても生活に影響が出ないとして高齢者が身体を張ったのだ。座り込み開始を前に、宮里さんは「万が一のときも身元がわからないよう携帯電話などは持たないで行く」と話していた。
ゲート前には沖縄県警の警察官が出動。座り込もうとする市民の腕をわしづかみにした。小柄な宮里さんも強い力で警官に手足を抱えられ、二度も運び出された。

緊迫した状況の中、ついに3カ所の主要なゲートを市民が完全封鎖。しかし配備前夜の30日、200人を超す機動隊が投入され強制排除に動く。午後は大山ゲート、日が落ちてからは野嵩ゲート。抵抗する市民が次々とゴボウ抜きにされた。宮里さんはワゴン車の屋根に乗り、夢中でカメラのシャッターを切り続けた。

盾を手にズラリと並ぶ機動隊員を前に「恐怖はなく、ただ腹立たしかった」という宮里さん。同じ沖縄の人間同士が対峙する構図。フェンスの向こうには時に談笑しながら顛末を見守る米兵たちがいた。
宮里さんは辺野古や、ヘリパッド建設が強行される東村高江に通い続けてきた。知人には「基地なんて、なるようにしかならんさ」――反対しても仕方ないよ、という人もいる。それでも声を上げないと、と自らを奮い立たせる。その原点には戦争体験がある。

宮里さんは座間味島出身。67年前の沖縄戦で、島民は旧日本軍の強制によって「集団自決」に追い込まれた。当時、宮里さんは4歳。壕の中で「死ぬのはいや」と叫んで逃げ出し、生き延びた。
沖縄戦で沖縄は捨て石にされた。それは今も変わらない、と宮里さんは考えている。そして「戦前と同じ、沖縄に対する差別が今もある」と。(つづく)
【矢野 宏、栗原佳子/新聞うずみ火】