◆3年後の憲法改正がシミュレートされる選挙
今回の衆議院議員選挙のポイントは何か?貧困・格差問題、橋下現象、憲法改正の三つのテーマについて、社会運動家の湯浅誠さんに聞いた。(聞き手 石丸次郎)

社会活動家の湯浅誠さん(撮影 アジアプレス南正学)

社会活動家の湯浅誠さん(撮影 アジアプレス南正学)

数年先を見据えた投票を
石丸:尖閣や竹島の問題をはじめ、東アジアの国々との外交、安全保障問題が重要性を帯びている中、選挙戦で、日本が国防軍を持つとか、徴兵制を導入するとか、核のシミュレーションをしなければいけないといった主張が大声で語られ、また、一定の支持を集めようとしています。どのように見ていますか?

湯浅:今はどことどこがくっついて、どことどこが分かれて、みたいな話が多いですから、政策がどう変わるのか分かりづらい。しかし、こうしたドタバタは、はっきり選挙向けと割り切った方がいいと思います。じゃあ選挙が終わったらどうなるのか。

12でしたっけ?この数の政党が次の国政選挙のときまで続くことはありえない。ということは、次の参院選か衆院選までの間に、また再編されていく。

それが5つになるのか6つになるのか7つになるのか分からないですが、そのときに、どういう軸に向かって収斂していくのかを考えてみると、整理がつきやすいのではないかと思います。私は二つの軸に向かって収斂していくと思います。その二つの軸は、政策としてパッケージ化してきています。

一つ目の軸はどのようなものか。外交は強行路線。社会保障では自助を強調。強引な経済成長を目指し、組織マネージメント論ではトップダウン。自民、維新、みんなの党がパッケージ化しているものです。それに対してもう一の軸では、外交における協調、社会保障では共助型、経済的には成熟型、組織マネージメントとしてはダイバシティ(多様性)でパッケージ化していくものです。

そのように収斂されていくと想定して、自分はどっちが好ましいのだろうと考え、そこからこの個人あるいは政党は、今後どちらの軸に付くのだろうと考え、選択するのが良いのではないかと思います。後者のいわゆるリベラル路線の人は、どの政党にもいるのですが、どの政党でも執行部を取っていないため、その存在が見えづらい。

彼らが浮かび上がってくるような、社会構想の結集軸みたいなものが出てくるといいなと思っています。そういう観点で3年後ぐらいを見据えて、そこから遡って、今の人を判断してみる。そうすると、橋下さんはどう考えてもこっちに行くはずがないとか、この人は自民党にいるけれどもこういうタイプの人だとか、そういう判断が比較的しやすいのではないでしょうか。
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