◇様々な不安材料 それでもやるしかない

R:この作業、順調に行くのでしょうか?

小出:私自身も大変心配です。4号機は1号機、2号機、3号機に比べると、放射能の汚染ということでは比較的少なかったのです。それでも、使用済み燃料プールの周辺は放射能で汚れているわけですし、そこで作業をしようとすれば、作業員が次々と被曝をしてしまいます。そういう中で作業をしなければいけないわけです。熟練した作業員をきちんと集められるかどうか、ということが心配です。

R:作業員を集められるかどうかというのは基本的な問題ですね。

小出:そうです。その上、爆発によって、使用済み燃料プールの中には大量の瓦礫が既に落ちてしまっていて、その瓦礫を取り除いてきたのではあるのですけれども、それでも大小様々な瓦礫がまだプールの中に残っているわけです。また、瓦礫が崩れ落ちた時に、使用済み燃料の集合体そのものが変形してしまっていたりすると、ラックの中に入っている集合体は思った通りには抜けないし、それをキャスクの中にうまく入れることもできないかもしれないのです。これはやってみるしかないのですが、被曝環境の中では、なかなか困難な作業になるだろうと思います。

R:やってみなければ分からない。それでもやらなければいけないのですね。

小出:そうです。必ずやらなければいけません。

R:使用済み核燃料を移す作業は、4号機だけでなく、1・2・3号機でもやらなければいけないのですか。

小出:そうなのです。先ほどお話したように、4号機は、放射能の汚染という意味では比較的少なかったので、使用済み燃料プールの近くまで作業員が行くことができるのですが、1・2・3号機の内部へは、作業員がまず入って行けません。そのようなところで、これから一体どうやって作業を出来るか、大変不安に思っています。

「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ

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