福島1-3号機の溶融した燃料の回収は極めて困難
4号機の燃料棒取り出しが始まって半月余り。その先には、燃料が熔け落ちた1、2、3号機での取り出し作業が控えている。政府は燃料を取り出すと言っているが、熔けた燃料をどのように取り出すことが出来るのか。京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さんに、廃炉作業の見通しを聞いた。(ラジオフォーラム

京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さん

京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さん

◇熔け落ちた燃料は取り出せない
ラジオフォーラム(以下R):福島第一原発4号機の燃料回収が進んでいますが、政府と東京電力が以前に発表した廃炉の工程表によると、最大の関門である、1、2、3号機の熔け落ちた燃料棒、要するにメルトダウンした燃料の回収を、1、2号機は従来より1年半早い2020年度前半に始めるということです。順調に進んでいるのかな? とも思うのですが、小出さんはどのようにお考えでしょうか。

小出:残念ながらうまくいきません。まったく、絵に描いた餅です。

R:どういうところが難しいとお考えでしょうか。

小出:今、進行している事故というのは人類が初めて遭遇した事故なのです。これまで最悪といわれていたのは、旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所の事故でしたが、そこで熔け落ちたのは原子炉が1つなのです。今、福島では3つの原子炉が熔け落ちてしまって、更に4号機は熔け落ちてはいないけれども、建屋が壊れかけて、膨大な死の灰を抱えた使用済み燃料プールが宙ぶらりんになっているというような大変な状況が今も進行しているわけで、簡単にどうこう出来るなどと言えるような事態ではないのです。

R:メルトダウンした燃料というのは、かなり重いとも聞いています。

小出:ウランの塊は100トンあります。それも、瀬戸物状に焼き固めてあったのですが、その瀬戸物は比重が20というような猛烈に重たいものなのです。ウランというのは重金属の一種で、重たいものだからこそ、劣化ウランという形の超優秀な砲弾にもなるのですけれども、その重たいものが100トンも熔け落ちてどこにいってしまっているか今でも分からない、という状態なのです。

R:回収など可能なのでしょうか。

小出:それが塊になっているというだけではなくて、そこら中あちこちにへばりついてしまっているという状態にあると私は思います。そのため、仮になにがしかの分を回収できたとしても、全量回収することはできませんし、わずかなものでも回収しようと思えば大変な被曝になってしまうので、私はたぶん作業自体が実質的に出来ないと思います。

R:今の廃炉作業では、壊れた建屋を潰して、その上に覆いを掛け、ゆくゆくは1、2、3号機のメルトダウンした燃料も取り出すという方向でやっているわけですが、全く無駄な作業に終わってしまう可能性もあるということですか?

小出:今やっているのは、4号機の使用済み燃料プールの底に眠っている、これ以上燃やせない燃料、つまり核分裂生成物を目いっぱい抱えた使用済み燃料を、少しでも危険の少ないところにまずは移すという作業です。私はその作業は絶対にやらなければならないと思いますし、東京電力に急いでやってほしいと願っていますが、その作業自体が大変困難な作業で、これから何年かかるのかすら分からないのです。