市場で販売が禁止されているテレビや録画機などの電化製品を倉庫に隠して売る女性たち。国営商店よりも安く品種も多様で支持されている。(2008年10月黄海北道沙里院(サリウォン)市 シム・ウィチョン撮影)

市場で販売が禁止されているテレビや録画機などの電化製品を倉庫に隠して売る女性たち。国営商店よりも安く品種も多様で支持されている。(2008年10月黄海北道沙里院(サリウォン)市 シム・ウィチョン撮影)

 

市場に負けた国営ナンバーワン百貨店 [5]

取材 ク・グァンホ 整理・解説 石丸次郎
◆ 国民の大半は消費物資を市場で調達

特権階層ではない国民の大多数の庶民が、消費物資を主にどこで調達しているかを見てみよう。ク・グァンホ記者、リ・サンボン氏はじめ何人かの北朝鮮の人たちの意見を参考にしてまとめた。

◇ コメ・トウモロコシなど食糧
ジャンマダンがほとんど。一部の重要企業所、役所、公安機関などでは国家による配給があるが、それで不足する部分はジャンマダン。

◇ 肉、卵、魚、野菜などの生鮮食品
ほぼジャンマダン。水産物商店などの国営商店での販売はほとんど壊滅状態。生産者から直接買う場合もある。

◇ パンや菓子、餅などの加工食品
ほぼジャンマダン。各家庭で作られた品が安くておいしい。中国製の方が高い。後述するが、国営企業が製造して、国営の卸売り商店に販売し、そこからジャンマダンや「奉仕売店」(人民班などの協同組合が経営する売店)に流れていくケースも多い。ただし取引は市場価格。

◇ 酒、タバコ
ほぼジャンマダン。「奉仕売店」でも少しは買える。

◇ 味噌、醤油、塩
質の良くない国営企業製品が、今でも国定価格で販売されており、「食品供給票」を得て購入する人が多い。質の良いものはジャンマダン。

◇ 鍋、釜、食器
ほぼジャンマダン。中国製品が席巻。国営商店でもごくたまに売るが低質。

◇ 衣料品、下着
ほぼジャンマダン。大半が中国製、一部国内の家内製手工業での生産があり、ジャンマダンで売られる。

◇ 薬
ジャンマダン(ただし闇販売)。医薬品は国営薬局や病院でしか入手できないことになっているが、横流しが横行している。

◇ 電化製品(中国製)
懐中電灯のような簡単な物以外はジャンマダンで販売できなくしているため、外国産品の専売商店である「収買商店」で買う。ただし市場価格。また個人間で取引するケースが多い。

◇ 電化製品(国内組み立てなど国産ブランド)
ジャンマダン(ただし個人取引、闇)。

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